生活習慣 | Column

やる気が出ない・疲れが取れないのは
「気持ちの問題」ではないかもしれません

健康相談NOZOMI 代表 山本淳

健康相談NOZOMI 代表 山本 淳

分子栄養学カウンセラー/バイタルファスティングマイスター

自身も長年、原因のわからない不調や強い疲労感に悩んだ経験から分子栄養学に出会う。現在はNPO法人オーソモレキュラー分子栄養医学協会の認定講師として、疲れ・気力・体づくりなどの相談に応じています。

デスクで疲れた様子の女性

しっかり寝たはずなのに、朝から体が重い。やらなきゃいけないのに、やる気がわいてこない。——そんな日が続くと、つい「自分の頑張りが足りないせいだ」と責めてしまいがちです。けれど、慢性的な疲れや気力の低下の背景には、「エネルギーを作る材料」が足りていないという、栄養の問題が隠れていることがあります。

それは「気合い不足」ではないかもしれません

休んでも回復しない疲れは、気持ちの強さとは別の次元の話です。体がエネルギーをうまく作れていないと、どれだけ意志を奮い立たせても、ガス欠の車にアクセルを踏むようなもの。まずは「燃料」と「エンジン」の状態に目を向けてみましょう。

そもそも「元気」は、どこで作られる?

私たちのエネルギーは、細胞の中の小さな工場「ミトコンドリア」で作られています。そこで食べたものを“燃やして”エネルギーに変えるのですが、この燃焼には鉄・ビタミンB群・マグネシウムといった栄養素が欠かせません。燃料(糖や脂質)があっても、これらが足りないと火がつかず、エネルギーがうまく生まれません。「食べているのに元気が出ない」背景には、こうした“燃やすための栄養”の不足が関係していることがあります。

疲れに関わる主な栄養素

とくに不足しやすいものを確認しておきましょう。

Iron

全身へ酸素を運び、エネルギー産生にも関わります。貧血と言われなくても、貯蔵鉄(フェリチン)が低い「隠れ鉄不足」で強い疲労感が出ることがあります。

多く含む食品:赤身肉・レバー・あさり・小松菜

ビタミンB群 Vit. B

糖質・脂質・タンパク質をエネルギーに変える反応の主役。不足すると、食べても疲れが抜けにくく、だるさが続きやすくなります。

多く含む食品:豚肉・レバー・卵・納豆・玄米

タンパク質 Protein

体やホルモン、やる気に関わる物質の材料。不足すると回復力が落ち、疲れやすく・気力もわきにくくなります。

多く含む食品:肉・魚・卵・大豆製品

マグネシウム Mg

エネルギー産生の多くの反応に関わる必須ミネラル。ストレスや汗で失われやすく、不足すると疲れ・こむら返り・寝つきの悪さが出ることも。

多く含む食品:ナッツ・海藻・豆類・ごま

「昼食後にどっと眠くなる」は、血糖値の乱れかも

空腹時に甘いものや炭水化物だけをとると、血糖値が急に上がり、その反動で急降下します(血糖値スパイク)。この急降下のときに、強い眠気・だるさ・集中力の低下・イライラが起こりやすくなります。「昼食後に毎日どっと眠くなる」「夕方にガクッと疲れる」という方は、血糖の乱高下を繰り返している可能性があります。

ここがポイント

血糖値をゆるやかに保つコツは、「最初に野菜やタンパク質を食べる」「主食だけの食事にしない」「よく噛む」こと。さらに、栄養を吸収する腸の状態も大切です。あわせて胃腸の不調を整える方法もご覧ください。

朝がつらい・夕方に元気が出る人は「副腎疲労」かも

ストレスが長く続くと、それに対応するホルモン(コルチゾール)を出し続ける副腎が疲れてしまいます。すると、本来は朝に高まるはずのリズムが乱れ、朝起きられない・午前中がつらい・夕方になると逆に元気といった独特のパターンが現れることがあります。これが「副腎疲労」と呼ばれる状態で、慢性的な疲れや無気力と深く関わります。ストレス反応が続くほど、ビタミンB群・マグネシウム・ビタミンCなど“元気の材料”が消耗していく点にも注意が必要です。

食事・生活から整える

続けやすいところから、少しずつ。小さな積み重ねが回復の土台になります。

今日から意識したいこと

  • 三食、こまめにタンパク質をとる(とくに朝食)
  • 鉄・ビタミンB群を意識(赤身肉・レバー・卵・あさり)
  • 甘い飲み物・お菓子の「空腹時のドカ食い」を避ける
  • 食事は野菜・タンパク質から、よく噛んで
  • カフェインや夜更かしで“元気の前借り”をしすぎない
  • 睡眠時間と、寝る前のスマホ時間を見直す

「燃やす材料」を補う

鉄・ビタミンB群・マグネシウム・タンパク質を、まずは食事から。何が不足しているかは人それぞれなので、栄養チェックで確認すると近道です。

血糖を乱さない食べ方にする

空腹時の糖質だけの食事を避け、食べる順番とよく噛むことを意識。午後のだるさが変わってくることがあります。

内臓とこころを休める

消化に休みを与える時間をつくることも回復の助けに。専用ドリンクで無理なく内臓を休めるバイタルファスティングという方法もあります。

ひとつ注意してほしいこと

強い倦怠感が続く場合、貧血や甲状腺の機能など、ほかの原因が隠れていることもあります。また、鉄などの栄養素は自己判断で大量に摂ると体に負担となることがあります。気になる症状が続くときは医療機関の受診も検討し、サプリメントは専門家に相談しながら取り入れると安心です。

まとめ|疲れは「気合い」ではなく「材料」から

取れない疲れや出ないやる気は、意志の弱さではなく、エネルギーを作る材料の不足や、血糖・ストレスの影響かもしれません。燃やす材料を補い、血糖を乱さず、内臓とこころを休める。順番に整えれば、体は少しずつ軽くなっていきます。「自分の場合、何から始めればいい?」と感じたら、気軽にご相談ください。栄養チェックで、今の状態を一緒に確認しましょう。

※本記事は栄養や生活習慣に関する一般的な情報提供を目的としたもので、病気の診断・治療を目的としたものではありません。強い疲労感が続く場合や気になる症状がある場合は、医療機関への受診もあわせてご検討ください。
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