胃腸 | Column

お腹の不調、「体質」とあきらめていませんか?
胃腸を根本から整える考え方

健康相談NOZOMI 代表 山本淳

健康相談NOZOMI 代表 山本 淳

分子栄養学カウンセラー/バイタルファスティングマイスター

幼少期から慢性的な胃腸の不調をはじめ、蕁麻疹・不眠・円形脱毛症など、さまざまな体の不調を経験。原因を探して多くの検査や治療を重ねた末に分子栄養学とファスティングにたどり着き、現在はNPO法人オーソモレキュラー分子栄養医学協会の認定講師として、同じ悩みを持つ方の相談に応じています。

お腹をおさえてつらそうにする学生の女の子

「また今日もお腹の調子が悪い…」その日々、続いていませんか

お腹がゴロゴロする。いつも張って苦しい。下痢と便秘を繰り返す。げっぷやおならが多くて気になる——。こうした不調を「体質だから仕方ない」「病院でも異常なしと言われたし」と、あきらめてはいないでしょうか。

実は、検査で「異常なし」と言われる不調こそ、栄養の視点から見直すと改善のヒントが見つかることがあります。私自身、小学校高学年の頃からまともな便の記憶がないほど、長く下痢に悩まされてきました。病院をいくつ回っても答えはいつも「特に異常はありません」。薬を渡されるだけで、原因はわからないまま。その不調は「体質」ではなく、腸からのSOSだったと、今ならわかります。この記事では、胃腸の不調が起きるしくみと、整えるための考え方をお伝えします。

まずはチェック。あなたの胃腸はどんな状態?

当てはまるものがないか、確認してみてください。

こんな症状はありませんか

  • 胃もたれが続く
  • お腹が張って苦しい(ガスがたまりやすい)
  • 下痢が続く、または便秘と下痢を繰り返す
  • おならが多い、においが気になる
  • げっぷが出やすい
  • 食欲がなく、食が細い

ひとつでも当てはまるなら、毎日の食事や生活習慣を見直すサインかもしれません。検査に引っかからなくても、腸が静かにダメージを受けていることはめずらしくありません。

なぜ胃腸の不調は起きるのか

① 腸は「第二の脳」。ストレスが直接ひびく

腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれるネットワークでつながっています。緊張するとお腹が痛くなる、大事な場面の前に下痢になる——こうした反応は、脳のストレスが腸に伝わるために起こります。ストレスが続くと腸の動きが乱れ、消化や吸収の力も落ちてしまいます。

② 腸内細菌のバランスの乱れ

腸の中にはおよそ100兆個もの細菌が住んでいるといわれます。善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランスが崩れると、ガスが増えてお腹が張る消化がうまくいかず胃もたれする腸の動きが乱れて下痢や便秘になるといった不調につながります。食生活の乱れ、睡眠不足、人工甘味料などが、このバランスを崩す要因になります。

③ リーキーガット(腸のバリアのほころび)

腸の粘膜は本来、必要な栄養だけを取り込み、不要なものを通さないバリアの役割を担っています。ところが食生活の乱れやストレスなどでこのバリアにすき間ができると、未消化物や毒素が血液側へ漏れ出し、肌荒れや慢性的な疲れなど、全身の不調を招くことがあります。

④ 消化酵素の不足と「噛むこと」

食べ物を分解する消化酵素は、唾液や胃液、膵液などに含まれます。腸内環境が乱れると分泌が低下し、消化しきれなかったものが腸内で発酵してガスや張りの原因に。見落としがちなのが「よく噛むこと」です。唾液の酵素と食べ物をしっかり混ぜ合わせるだけでも、消化の負担はぐっと軽くなります。

ここがポイント

胃腸の不調は「気のせい」でも「体質」でもなく、ストレス・腸内細菌・腸のバリア・消化力という複数の要因が重なって起きていることが多いもの。だからこそ、原因に合わせた見直しで変えていける余地があります。

腸を整える第一歩は「足す」より「抜く」

腸を整えるというと、何かを足すことを考えがちですが、最初の一歩はむしろ「抜く」こと。アレルギー検査では異常がなくても、特定の食品が腸を慢性的に傷つけているケースは多くあります。まずは次の3つを、しばらく食事から外してみてください。

① カゼイン(乳製品のタンパク質)

牛乳・チーズ・ヨーグルトなどに含まれるカゼインは、腸の粘膜バリアに負担をかける要因のひとつと考えられています。「体に良い」とされる食品が、人によっては不調の引き金になっていることもあります。

② グルテン(小麦のタンパク質)

パン・パスタ・うどん・ラーメンなどに含まれるグルテンも、腸のバリアに影響を与えることがあるとされています。乳製品を控える「カゼインフリー」と合わせて、小麦を控える「グルテンフリー」を意識すると、腸を休めるきっかけになります。

③ 人工甘味料

「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」とうたう飲み物や食品に多い人工甘味料は、腸内細菌のバランスを乱す可能性が報告されています。「健康的」と思って毎日とっていたものが、実は負担になっていた——そんなことも起こり得ます。

この3つをしばらく抜いてみて、「やめたら体が楽になった」と感じられたら、それが自分に合う食事を見つける大きな手がかりになります。

腸を整えるためにできること

腸を「休ませる」(バイタルファスティング)

食べることばかりに目が向きがちですが、消化を休ませる時間をつくることも大切です。専用ドリンクを使って無理なく内臓を休ませる方法もあります。

善玉菌を育てる食事を意識する

発酵食品や、野菜・海藻などの食物繊維は、腸内の善玉菌のはたらきを支えます。一度にたくさんではなく、毎日少しずつ続けることがポイントです。

ゆっくり、よく噛んで食べる

ひと口ごとによく噛むだけで、消化酵素のはたらきを助け、腸の負担を減らせます。今日からお金をかけずに始められる工夫です。

不足しがちな栄養を補う

腸の粘膜や消化のはたらきには、タンパク質やビタミン・ミネラルが欠かせません。何が足りていないかは人それぞれ。必要に応じて栄養チェックで確認すると近道です。

ひとつ注意してほしいこと

小腸内細菌増殖症(SIBO)やヒスタミン不耐症などがある場合、食物繊維や発酵食品がかえって症状を悪化させることもあります。合う食べ方は人それぞれ。不安があるときは、自己判断で進めず専門家にご相談ください。

まとめ|「異常なし」の不調こそ、栄養から

胃腸の不調は、ストレス・腸内細菌・腸のバリア・消化力など、いくつもの要因が重なって起きています。まずは負担になりやすい食品を抜き、腸を休ませ、よく噛み、足りない栄養を補う。順番に整えていけば、体は少しずつ応えてくれます。とはいえ「自分には何が合うのか」を一人で見極めるのは難しいもの。そんなときは、気軽に相談してください。

※本記事は栄養や生活習慣に関する一般的な情報提供を目的としたもので、医療行為や診断に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関への受診もあわせてご検討ください。
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