メンタル | Column

更年期のイライラが止まらないあなたへ。
「体質ケア」という選択肢

健康相談NOZOMI 代表 山本淳

健康相談NOZOMI 代表 山本 淳

分子栄養学カウンセラー/バイタルファスティングマイスター

NPO法人オーソモレキュラー分子栄養医学協会の認定講師。ホルモンや自律神経の変化に栄養・生活習慣の面から寄り添い、お一人おひとりに合わせたケアをサポートしています。

窓辺で頭を抱える、つらそうなミドル世代の女性

「さっきまで普通だったのに、急にイライラが爆発してしまう」「家族に強く当たって、あとで自己嫌悪」「理由もなく涙が出て、自分が自分じゃないみたい」。もし同じような経験があるなら——それは、あなたの性格や心の弱さのせいではありません。更年期に起こるホルモンと自律神経、そして栄養のゆらぎが関係しています。

そのイライラ、「性格のせい」ではありません

更年期のイライラや気分の波は、多くの女性が経験する自然な体の変化です。「我慢が足りない」のでも「母親失格」でもありません。まず、しくみを知ること。それが、自分を責めずに対処していく第一歩になります。

なぜ更年期になると、イライラが止まらないの?

エストロゲンの急降下が、こころの安定をゆらす

40代半ばを過ぎる頃から、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減っていきます。このエストロゲンは、こころの安定に関わるセロトニンの働きとも関係しているとされています。今まで安定していた支えが急に揺らぐことで、些細なことでイライラしたり、感情がコントロールしにくくなったりするのです。

自律神経の乱れが、不快感を強める

エストロゲンの減少は、自律神経にも影響します。交感神経(緊張モード)が優位になりやすく、リラックスや深い眠りが得にくくなったり、ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)といった体温調節の乱れが起きたり。これらが重なって、「一日中スイッチが入りっぱなし」のような状態になることがあります。

見落とされがちな「栄養」の影響

意外と見落とされやすいのが、栄養の不足です。更年期は代謝の変化もあり、次のような栄養が足りなくなりがち。これらはどれも、気分の安定に関わります。

Iron

不足すると、イライラや気分の落ち込みが出やすくなります。月経のある時期は特に不足しがちな栄養素です。

多く含む食品:赤身肉・レバー・あさり・小松菜

ビタミンB群 Vit. B

こころの安定に関わる神経伝達物質の合成に必須。ストレスで消耗が早まり、不足すると気分の波が出やすくなります。

多く含む食品:豚肉・卵・納豆・玄米・葉物野菜

マグネシウム Mg

神経の高ぶりをしずめ、リラックスを助ける働きから「天然の精神安定剤」とも呼ばれます。ストレスで失われやすい栄養素です。

多く含む食品:ナッツ・海藻・豆類・ごま

オメガ3脂肪酸 Omega-3

体内の炎症をしずめる脂質。現代の食事では不足しやすく、意識して補いたい栄養素です。

多く含む食品:青魚・亜麻仁油・えごま油

つまり、更年期のイライラは「心の問題」だけでなく、「栄養と代謝の問題」でもあるという見方ができます。だからこそ、栄養の面から整えていく余地があるのです。

腸とこころは、つながっている

こころの安定に関わるセロトニンは、その多くが腸で作られているといわれます。せっかく良い栄養をとっても、腸の調子が乱れていると吸収しきれず、効果は半減してしまいます。

コップが汚れていたら、きれいな水は入らない

コップ自体が汚れていると、どんなにきれいな水を注いでも濁ってしまいます。体も同じで、腸内環境が乱れていると、良いものを食べても活かしきれません。栄養を「とる」ことと、腸を「整える」ことはセットです。詳しくは胃腸の不調を整える方法、こころと栄養の関係はこころの不調と栄養もご覧ください。

体質から整えるためにできること

大豆製品・適度な運動・深呼吸——どれも大切ですが、続けやすいところから「土台を整える」ことを意識すると、変化を感じやすくなります。

今日から意識したいこと

  • 朝起きたら、まずコップ1杯の白湯や水を
  • 毎食、タンパク質をしっかり(肉・魚・卵・大豆)
  • 鉄・マグネシウム・オメガ3を食事から意識して補う
  • 加工食品・甘い飲み物を少しずつ減らす
  • 就寝前のスマホ時間を見直し、眠りの質を整える

「引き算」という選択肢

現代人の多くは、消化器官が休みなく働き続けています。そこで、栄養を「足す」だけでなく、消化を休ませて整える「引き算」の発想もひとつの選択肢です。専用ドリンクで必要な栄養を補いながら内臓を休ませるバイタルファスティングもそのひとつ。腸内環境のリセットや代謝の切り替えを通じて、心身のコンディションを整えるサポートが期待できます。

ただし、合う・合わないは体調や持病によって異なります。興味があれば、バイタルファスティングとは?もあわせてご覧ください。進め方は一人ひとりに合わせて組み立てることが大切です。

我慢しすぎないでください

更年期の症状には、婦人科でのホルモン補充療法をはじめ、医療的な選択肢もあります。つらさが続いて日常生活に支障が出ている場合は、我慢せず婦人科や医療機関にご相談ください。栄養や生活習慣からのケアは、こうした医療と並行して取り入れられます。

まとめ|更年期は、終わりではなく転機

更年期のイライラは、性格のせいでも、我慢するしかないものでもありません。ホルモン・自律神経・栄養のゆらぎが重なって起きている、体からのサインです。栄養を整え、腸をいたわり、必要なときは医療の力も借りる。体質から整えていけば、穏やかな毎日を取り戻していけます。「自分の場合はどうすれば」と感じたら、気軽にご相談ください。

※本記事は栄養や生活習慣に関する一般的な情報提供を目的としたもので、効果を保証するものではなく、病気の診断・治療に代わるものではありません。症状がつらい場合や長く続く場合は、婦人科など医療機関への相談をおすすめします。
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