メンタル | Column

こころの不調、実は「栄養」が
関係しているかもしれません

健康相談NOZOMI 代表 山本淳

健康相談NOZOMI 代表 山本 淳

分子栄養学カウンセラー/バイタルファスティングマイスター

自身も長年、胃腸の不調や不眠、メンタルの揺らぎを経験。原因を探す中で分子栄養学に出会う。現在はNPO法人オーソモレキュラー分子栄養医学協会の認定講師として、こころと体の両面から個別の相談に応じています。

机に伏せて落ち込む学生の女の子

気分が落ち込む、理由もなく不安が続く、些細なことでイライラしてしまう——。こうした状態は「気の持ちよう」や「性格」のせいにされがちです。けれど分子栄養学では、こころの安定を支える材料が不足したときにも、同じような不調が現れることが知られています。「こころの問題」と決めつける前に、体の内側の状態に目を向けてみませんか。

こころの不調は「気持ちの問題」ではないかもしれません

十分に休んでいるつもりでも気分が上がらない、頑張りたいのに意欲がわかない。そんなとき、責めるべきは「弱さ」ではないかもしれません。こころの安定にかかわる物質が、体の中で作られにくくなっている可能性があります。

こころを支える物質は、どう作られる?

気分を安定させるセロトニン、意欲や集中にかかわるドーパミン、リラックスを促すGABA。こうした神経伝達物質は、食事からとったアミノ酸(タンパク質)を材料に作られます。その合成には、鉄・亜鉛・ビタミンB6・葉酸などが裏方として欠かせません。これらが足りないと、しっかり食べていても材料が回らず、こころの不調につながることがあります。

こころの安定に関わる主な栄養素

不足しやすいものを中心に、役割を確認しておきましょう。

タンパク質 Protein

セロトニン・ドーパミンの材料になるアミノ酸の供給源。不足すると気分の落ち込みや意欲低下、睡眠の乱れが起きやすくなります。

多く含む食品:卵・豆腐・納豆・魚・肉

Iron

神経伝達物質の合成に不可欠。貧血でなくても、貯蔵鉄(フェリチン)が低いと落ち込みや不安が出やすくなります。

多く含む食品:赤身肉・レバー・あさり・小松菜

亜鉛 Zinc

GABAの合成や神経細胞の保護にかかわるミネラル。不足するとイライラや気持ちの不安定さにつながることがあります。

多く含む食品:牡蠣・牛肉・大豆製品・ナッツ

ビタミンB群 Vit. B

セロトニン合成を直接助ける補酵素。ストレスや飲酒で消耗が早まり、不足すると気分の波や眠りの浅さが出やすくなります。

多く含む食品:豚肉・卵・納豆・玄米・葉物野菜

マグネシウム Mg

神経の高ぶりをしずめ、リラックスを促します。ストレスで消費されるため、忙しい時期ほど不足しやすい栄養素です。

多く含む食品:ナッツ・海藻・豆類・ごま

腸とこころは、つながっている

腸は「第二の脳」とも呼ばれ、こころの状態と深く関係しています。せっかく栄養をとっても、腸がうまく働いていなければ体に届きません。さらに、腸内環境の乱れそのものが、メンタルの不調を引き起こす経路にもなります。

腸内細菌は、セロトニンのもとになる物質づくりや、炎症をしずめる短鎖脂肪酸の産生にかかわっています。腸と脳は「腸脳相関」という双方向のネットワークでつながっているため、腸の不調がこころに映り、こころの状態が腸に出るという関係が生まれます。「食事には気をつけているのに気分が上がらない」という場合、その背景に腸の吸収機能の問題が隠れていることもあります。

ここがポイント

こころを整える材料は、腸で吸収されてはじめて体に届きます。だからこそ、栄養を「とる」ことと、腸を「整える」ことはセット。胃腸の整え方は胃腸の不調を整える方法もあわせてご覧ください。

副腎疲労と、慢性的なストレス反応

強いストレスが長く続くと、ストレスに対応するホルモン(コルチゾール)が出続け、やがて分泌をになう副腎が疲れてしまいます。これは「副腎疲労」とも呼ばれ、慢性的な疲れ・無気力・不安・気分の落ち込みと深くかかわります。

ストレスは「こころの栄養」を奪っていく

ストレス反応が続くと、ビタミンC・ビタミンB群・マグネシウム・亜鉛が大量に使われます。これらはこころの安定に必要な栄養と重なるため、ストレスが続くほど「こころを支える栄養」が減っていく悪循環に陥りやすくなります。

血糖値の乱れと、気分の不安定さ

血糖値の急な上下(血糖値スパイク)は、気分の不安定さや不安感を強めることがあります。血糖が急に下がったときの「危機感」は、理由のない焦りや落ち着かなさとして感じられることも。甘いものを食べると一時的に落ち着く感覚がある方は、このサイクルを繰り返している可能性があります。

食事から整えるための基本

特別な食材を足すより、「材料がそろう食べ方」を意識することが大切です。毎日の小さな積み重ねが、こころの土台をつくります。

今日から意識したいこと

  • 三食、こまめにタンパク質をとる(とくに朝食)
  • 鉄は赤身肉・レバー・あさり・小松菜から。ビタミンCと一緒に
  • 亜鉛は牡蠣・牛肉・大豆・ナッツで補う
  • ビタミンB群は豚肉・卵・納豆・玄米・葉物野菜から
  • マグネシウムはナッツ・海藻・豆・ごまで
  • 甘い飲み物・お菓子の「だらだら食べ」を減らす

サプリメントを使うときの考え方

食事だけで足りないとき、サプリメントは選択肢になります。ただし、品質や吸収されやすさは製品によって大きく異なります。全国の医療機関で採用されるブランドのように、原材料や吸収のしやすさにこだわって作られたものもあり、同じ栄養素でも体への届きやすさが変わります。成分だけでなく、品質面も確認することが大切です。

ひとつ注意してほしいこと

同じ「気分が落ち込む」でも、原因が鉄の方、亜鉛・ビタミンB群・マグネシウムが絡む方など、人それぞれです。栄養素には、とりすぎが負担になるものや、組み合わせで吸収が妨げられるものもあります。自己判断で大量に摂るのではなく、ご自身の状態に合わせて専門家に相談しながら進めると安心です。

まとめ|こころの土台は、栄養から整えられる

気分の落ち込みや不安は、「弱さ」ではなく、こころを支える材料の不足や腸・ストレスの影響かもしれません。タンパク質を中心に必要な栄養をそろえ、腸を整え、血糖の乱れをやわらげる。順番に取り組めば、こころの土台は少しずつ安定していきます。健康相談NOZOMIでは、カウンセリング前に「ウェルネス栄養チェックレポート」で体の傾向を整理し、どこから整えるかを一緒に考えながら、食事・サプリメント・生活習慣を段階的にサポートします。一人で抱え込まず、気軽にご相談ください。

※本記事は栄養や生活習慣に関する一般的な情報提供を目的としたもので、病気の診断・治療を目的としたものではありません。気分の落ち込みや不安が強い、または長く続く場合は、医療機関(心療内科・精神科など)への相談もあわせてご検討ください。
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