「検査では特に問題ないと言われたのに、なかなか妊娠に至らない」。基礎体温をつけ、タイミングを合わせ、できることはやっているつもりなのに、結果が出ない——。そのモヤモヤは、頑張りが足りないからではありません。一般的な血液検査の数値だけでは見えない、栄養という視点があります。
検査に異常が出ないのに、妊娠に至らない——それも、めずらしいことではありません
一般的な血液検査を受けても、明確な原因が見つからないケースは少なくありません。医学的には「原因不明不妊」と呼ばれる状態で、検査では原因を特定できないまま、一人で抱え込んでしまう方も多くいらっしゃいます。基礎体温をつけ、タイミング法を試し、葉酸サプリも飲んでいる。それでも変化が感じられないとき、一般的な血液検査の数値には出てこない部分に目を向けてみる、という選択肢があります。
また、妊娠には至っても、流産を繰り返してしまうという悩みを抱える方もいらっしゃいます。理由がはっきりしないまま同じことが続くつらさは、決して軽いものではありません。
検査の数値は「氷山の一角」
見える数字と、見えない土台
一般的な血液検査で分かるのは、ホルモン値など、見える範囲のデータです。ですがその数値を土台から支えているのは、日々の食事や栄養状態。検査に異常が出なくても、体づくりの土台が整っているとは限りません。
水面から見えている氷山の先端が「検査でわかる数値」だとすれば、水面下に広がる大きな土台にあたるのが「日々の栄養状態」です。見えないからこそ、見落とされやすい部分でもあります。
妊活期に見落とされがちな栄養
分子栄養学では、体を細胞レベルで見て、必要な栄養が満たされているかを大切にします。妊活期に意識しておきたいとされる栄養素の一例をご紹介します。
鉄 Iron
妊娠準備期に不足しやすいとされる栄養素の代表格。月経のある期間は特に消費が多く、体づくりの土台として意識されることが多い栄養素です。
多く含む食品:赤身肉・レバー・あさり・小松菜
タンパク質 Protein
ホルモンや細胞の材料になるとされる栄養素。糖質中心の食事になりがちな現代では、意識して摂る必要があると言われています。
多く含む食品:肉・魚・卵・大豆製品
ビタミンD Vit. D
多くの人が不足しがちな栄養素。日光でも作られますが、屋内で過ごす時間が長い現代では食事だけで補いにくく、サプリメントで補う人も多いです。
多く含む食品:鮭・きのこ類・卵黄
亜鉛 Zinc
細胞分裂やホルモンバランスに関わるとされるミネラル。加工食品中心の食生活では不足しやすいと言われています。
多く含む食品:牡蠣・牛肉・ナッツ類
葉酸 Folate
妊娠を考える時期に特に注目される栄養素。細胞分裂に関わるとされ、厚生労働省も妊娠前からの摂取を推奨しています。
多く含む食品:ほうれん草・レバー・ブロッコリー・大豆製品
オメガ3脂肪酸 Omega-3
体内の炎症をコントロールするとされる脂質。現代の食事では不足しやすく、青魚を中心に意識して補いたい栄養素です。
多く含む食品:青魚・亜麻仁油・えごま油
関連記事:脂質(油)の話
食事だけで十分な量を満たすのが難しい栄養素もあるため、状態に応じてサプリメントを取り入れる方もいらっしゃいます。
ホルモンと栄養はつながっている
女性ホルモンや卵子の質に関わる体内の働きは、材料となる栄養が満たされて初めて機能すると考えられています。また、血糖値の乱れはホルモンバランスに影響を与えるとも言われており、甘いものや精製された炭水化物の摂り方を見直すことも、体づくりの視点の一つです。血糖値の波や、甘いもののとり方は、糖質と血糖値の波の話でくわしくまとめています。
腸内環境も、見落とせない土台のひとつ
腸内環境はホルモンの代謝にも関わるとされています。良い栄養をとっても、腸の状態が乱れていると活かしきれないことも。詳しくは胃腸の不調を整える方法もご覧ください。
パートナーの栄養も、妊活の視点の一つ
妊活は、女性だけの取り組みではありません。男性側も、亜鉛やビタミンB群、抗酸化物質などの栄養が精子の質に関わるとされています。パートナーと一緒に食生活を見直す方も増えています。
ストレスと妊活の関係
妊活中は、結果が出ないことへの焦りや周囲との比較で、ストレスを感じやすい時期でもあります。ストレスがかかると、体内でコルチゾールというホルモンが多く分泌されますが、その代謝にはビタミンCやマグネシウムが使われるとされています。ストレスが続くと、これらの栄養素が消耗されやすくなる、という見方もあります。
がんばりすぎるほど、栄養は消耗されやすい
「頑張らなきゃ」と気を張るほど、実は栄養面では消耗が進んでいることもあります。息抜きの時間や、心をゆるめる工夫も、体づくりの一部です。
冷えと妊活
「冷えは万病のもと」ともいわれますが、妊活においても血の巡りは大切にしたい視点の一つです。鉄やオメガ3脂肪酸は血流に関わるとされる栄養素で、これらが不足すると、体が冷えやすく感じられることもあります。湯船に浸かる習慣や、生姜・根菜類など体を温める食材を取り入れることも、日々できる工夫の一つです。
妊活中に意識したい、控えめにしたい食習慣
血糖値やホルモンバランスに影響を与えるとされる食習慣もあります。量や頻度を見直すことが土台づくりにつながります。
控えめにしたい食習慣
- 加工食品・スナック菓子
- 揚げ物や菓子類に多いトランス脂肪酸
- 甘い飲み物・清涼飲料水
- カフェイン・アルコール
今日からできる、体づくりの視点
今日から意識したいこと
- 毎食、タンパク質をしっかり(肉・魚・卵・大豆)
- 鉄・ビタミンD・亜鉛を食事から意識して補う
- 血糖値が乱れやすい、甘いものや白米などの主食の摂り方を見直す
- 睡眠の質を整え、体を回復させる時間を確保する
- 飲酒・喫煙を控え、ストレスをためない工夫をする
まとめ|まだ、できることがあります
「自分は何がダメなんだろう」と、一人で抱え込んできた方も多いと思います。基礎体温をつけ、タイミング法を試し、できることはやってきたはず。それでも、一般的な血液検査には映らない栄養の土台が、実は見落とされていたのかもしれません。そこに気づけたなら、まだできることがあります。焦らず、できることから整えていくお手伝いをします。「自分の場合はどうすれば」と感じたら、お気軽にご相談ください。



