お昼ごはんのあと、急に眠くなる。夕方になると、なんとなくイライラする。甘いものがやめられない。こうした変化の裏には、糖質のとり方でできる「血糖値の波」が隠れていることがあります。糖質というと「太る栄養素」として、量ばかりが話題になりがちです。でも分子栄養学で見たいのは、量だけではありません。何を、どの順番で、どんな組み合わせで食べたか。そして、食後に血糖値がどう上がり、どう下がったかです。この記事では、糖質の種類と体の中での働き、血糖値スパイクが起きるしくみ、出やすいサイン、波が起きやすい背景、砂糖と甘味料のこと、人によって違う糖質の量、波を小さくする食べ方、糖を使うときに関わる栄養素を、分子栄養学の視点でまとめました。栄養素シリーズの第12回です(第1回は「隠れ鉄不足」とフェリチンの話、第2回はマグネシウムの話、第3回は亜鉛の話、第4回はカルシウムの話、第5回はビタミンAの話、第6回はビタミンB群の話、第7回はビタミンCの話、第8回はビタミンDの話、第9回はビタミンEの話、第10回はビタミンKの話、第11回はたんぱく質の話)。
糖質とは
炭水化物から食物繊維を除いたものです。ご飯などの主食、いも類、果物、砂糖などに多く含まれ、1gあたり約4kcalのエネルギーになります。体の中でブドウ糖などに分解されて血液に入り、血糖値を上げます。三大栄養素のうち、血糖値を上げるのは糖質だけです。
お昼ごはんのあと、急に眠くなる理由
丼ものや麺類だけで済ませた昼食のあと、午後の会議や授業で、まぶたが重くなる。お腹がいっぱいになったから、と思いがちですが、それだけではないかもしれません。
糖質の多い食事をとると、血糖値が一気に上がります。体はそれを下げようとして、インスリンというホルモンをたくさん出します。すると今度は、血糖値が急に下がりすぎてしまうことがあります。この急な上がり下がり(血糖値の波)が、眠気やだるさ、集中しにくさにつながると考えられています。
こんなことはありませんか
- 昼食のあと、強い眠気やだるさが出る
- 丼もの・麺類・パンだけで食事を済ませることが多い
- 甘い飲み物や缶コーヒーを、毎日のように飲む
- 夕方になると、イライラしたり集中が切れたりする
- お腹がすくと、手が震えたり冷や汗が出たりする
- 甘いものを食べると、もっと欲しくなる
- 空腹の時間が長く、そのあとにまとめて食べることが多い
糖質の種類と、乳糖のこと
ひと口に糖質といっても、いくつかの種類があります。糖のいちばん小さい単位を「単糖」といい、単糖がいくつつながっているかで分けられます。
| 種類 | 主なもの | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| 単糖類 (1つ) | ブドウ糖、果糖、ガラクトース | 果物、はちみつ |
| 少糖類 (2〜20個ほど) | ショ糖(砂糖)、乳糖、麦芽糖、オリゴ糖 | 砂糖、牛乳、水あめ |
| 多糖類 (たくさん) | でんぷん、グリコーゲン | ご飯、いも類 |
ショ糖(砂糖)はブドウ糖と果糖が、乳糖はブドウ糖とガラクトースが、それぞれ1つずつつながった糖です。でんぷんは、ブドウ糖がたくさんつながったものです。どの糖質も、体の中で単糖まで分解されてから吸収されます。
炭水化物・糖質・糖類の違い
似た言葉が多いので、整理しておきましょう。炭水化物=糖質+食物繊維です。糖質のうち、単糖類と二糖類(砂糖・ブドウ糖・果糖・乳糖など)を、とくに「糖類」と呼びます。でんぷんや糖アルコールは、糖質ではありますが糖類ではありません。この違いは、食品の「糖質ゼロ」「糖類ゼロ」という表示を読むときに役立ちます(砂糖と甘味料のことで詳しく紹介します)。
乳糖と、乳糖不耐症
乳糖は、牛乳などに含まれる糖です。小腸にある「ラクターゼ」という酵素で分解されてから吸収されます。この酵素の働きが弱いと、乳糖が分解されないまま大腸に届き、お腹が張る、ゴロゴロする、下痢をするといったことが起こります。これが乳糖不耐症です。
ほとんどの赤ちゃんは乳糖を分解できますが、成長とともに分解しにくくなる人は少なくありません。アジア系の人には、乳糖を分解しにくい人が多いとされています。
ここで知っておきたいのは、乳糖を分解した「お腹にやさしい牛乳」でも、乳たんぱくのカゼインはそのまま残っているということです。分子栄養学で乳製品を控える理由は、乳糖だけではありません。カゼインと腸の関係は、胃腸の不調を整える方法でまとめています。
糖質は、体の中で何をしているのか
糖質は「悪者」として語られることも多い栄養素ですが、体にとっては大切なエネルギー源です。問題になるのは、糖質そのものより、とり方や量が体に合っていないときです。
すぐに使えるエネルギーになる
糖質は消化・吸収が早く、血液にのって全身に運ばれ、すぐにエネルギーとして使われます。脳や筋肉、赤血球なども、血液中のブドウ糖を使って働いています。
筋肉と肝臓にたくわえる
すぐに使われなかったブドウ糖は、「グリコーゲン」という形で筋肉と肝臓にたくわえられます。筋肉のグリコーゲンは体を動かすときに、肝臓のグリコーゲンは食事の間に血糖値を保つために使われます。
血糖値を上げるのは、糖質だけ
三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)のうち、血糖値を上げるのは糖質だけです。ご飯1膳(150g)の糖質は約53gです。一方、牛サーロイン150gの糖質は約0.6gしかありません。同じ「1食分」でも、血糖値への影響はまったく違います。
とりすぎた分は、脂肪としてためられる
血糖値を下げるインスリンには、血液中の糖を細胞に取り込ませるだけでなく、使いきれなかった糖を脂肪に変えてためる働きもあります。糖質の多い食事で血糖値が大きく上がるほど、インスリンもたくさん出て、脂肪がたまりやすくなります。太りにくい体をつくるには、食べる量を減らすことより、何を食べるかを選ぶことが大切です。
糖質を使うときは、ビタミンB1が使われる
ブドウ糖をエネルギーに変える過程では、ビタミンB1が欠かせません。白いご飯や甘いもの、加工された食品が多いと、ビタミンB群が少ないうえに、糖質を使うために消費される量が増えます。糖質が多い食事を続けると、エネルギーに変える力そのものが足りなくなりやすいのです。
食べた糖質が、体で使われるまで
ご飯のでんぷんは、口の中で唾液の酵素によって分解が始まり、小腸でブドウ糖まで分解されて吸収されます。吸収されたブドウ糖は血液に入り、血糖値が上がります。すると、すい臓からインスリンが出て、筋肉などの細胞がブドウ糖を取り込み、血糖値が下がっていきます。
筋肉には、ブドウ糖を取り込む「入り口」になるたんぱく質があります。この入り口はインスリンだけでなく、筋肉を動かすことでも開きます。体を動かすと血糖値が下がりやすいのは、このためです。
血糖値の波(血糖値スパイク)が起きるしくみ
急に上がって、急に下がる
導入でふれた、食後の血糖値の急な上がり下がりを「血糖値スパイク」と呼びます。とくに起きやすいのは、空腹のときに、糖質の多いものを、糖質だけで食べたときです。
食後の血糖値の動き(イメージ)
- ゆるやかな波:ゆっくり上がって、ゆっくり空腹時の高さに戻る
- 血糖値スパイク:急に上がって、急に下がる
- 機能性低血糖:急に上がったあと、空腹時よりも下がりすぎる
下がるとき、体はストレスホルモンで支える
血糖値が急に下がると、体は「危ない」と判断して、副腎からアドレナリンを出し、たくわえていた糖を引き出して血糖値を上げようとします。このときに出やすいのが、空腹感、手の震え、冷や汗、動悸といった反応です。
インスリンの働きが乱れて、血糖値の乱高下をくり返す状態を「機能性低血糖症」といいます。眠気や不眠、不安感など、さまざまな不調につながります。アドレナリンの影響で血管が縮むと、冷えや肩こり、頭痛が起こりやすく、イライラしやすくもなります。血糖値の乱れと心の関係は、こころの不調と栄養の話でもふれています。
副腎の負担と、アレルギーへの影響
血糖値を支えるために使われるホルモンには、副腎から出るコルチゾールもあります。血糖値の波をくり返すと、そのたびにコルチゾールが使われ、副腎に負担がかかります。コルチゾールは、ストレスに対応したり、炎症を抑えたりする働きも担っているため、使われ過ぎると、ストレスに弱くなったり、アレルギーが悪化しやすくなったりします。副腎の疲れについては、やる気が出ない・疲れが取れない話でまとめています。
波をくり返すと:酸化ストレスと糖化
食後に血糖値が大きく上がる状態は、体の中で活性酸素を増やし、酸化ストレスや炎症を起こします。食後の高血糖は、糖尿病や心臓・血管の病気、がん、老化などに関わるとされています。
もう一つ見逃せないのが「糖化」です。体の中で余った糖がたんぱく質などとくっつき、「AGEs(終末糖化産物)」という物質ができる反応で、体の「コゲ」とも呼ばれます。一度できると元に戻らず、たんぱく質の働きを損ないます。
糖化は、肌・骨・目・脳にも
AGEsは、体のいろいろな場所にたまります。肌では、ハリを保つコラーゲンが糖化すると、ハリが失われたり、くすんだりしやすくなると考えられています。血管を硬くしたり、骨粗しょう症や白内障の原因になったりするほか、アルツハイマー型認知症の脳にたまる「老人斑」からも、AGEsが多く見つかっています。
空腹時の検査だけでは、波はわかりにくい
健康診断の血液検査は、ふつう朝食を抜いた空腹のときに行います。そのため、食後に血糖値がどれくらい上がり、どう下がったかは、空腹時の値だけではわかりにくいのです。
自分の血糖値の波を知る方法として、腕に小さなセンサーを貼り、血糖値の変化を続けて記録できる機器(持続血糖測定器)もあります。何を食べたときに上がりやすいかが目で見てわかるので、自分に合う食べ方を探す手がかりになります。
血糖値の波があるときに出やすいサイン
サインの出方には個人差があり、当てはまるものがあっても、血糖値の波が原因とは限りません。食後や空腹のときに決まって出る、というときは、食事の内容や食べ方を振り返る目安にしてください。
食後の強い眠気 Drowsiness
昼食のあと、まぶたが重くなる。午後の仕事や授業に集中できない。
集中が続かない Focus
頭がぼんやりして、考えがまとまらない時間がある。
甘いものがやめられない Cravings
食後すぐでも甘いものが欲しくなる。食べるともっと欲しくなる。
空腹時の震え・冷や汗 Shaky
お腹がすくと、手が震える、冷や汗が出る、動悸がする。
頭痛・肩こり・冷え Tension
血管が縮みやすくなり、頭痛や肩こり、手足の冷えが出やすい。
血糖値の波が起きやすい背景
血糖値の波は、「何を食べたか」だけでなく、食べ方や生活のリズム、体の状態によっても起きやすくなります。
甘い飲み物 Sweet drinks
飲み物の糖は、噛む必要がなく、すぐに吸収されます。
早食い Eating fast
短い時間で食べると、糖質が一気に入り、血糖値が急に上がりやすくなります。
空腹のあとのドカ食い Binge eating
長い空腹のあとに、糖質の多い食事をまとめて食べると、血糖値が大きく上がりやすくなります。
睡眠不足・ストレス Sleep & Stress
睡眠時間を4時間に減らした研究では、6日で糖を処理する力が落ちました。ストレスホルモンも血糖値を上げます。
体を動かす機会が少ない Inactivity
筋肉は糖を取り込む大きな場所です。動かさないと、食後の糖が使われにくくなります。
腸・歯ぐき・肝臓の状態 Gut & Liver
腸内環境の乱れや歯周病、脂肪肝は、インスリンを効きにくくするとされています。
空腹でお酒を飲む Alcohol
何も食べずにたくさん飲むと、肝臓が糖をつくる働きが妨げられ、血糖値が下がりすぎることがあります。
ここがポイント
血糖値の波は、太っている人だけの問題ではありません。順天堂大学の研究では、やせ型(BMI18.5未満)の若い日本人女性に、食後の血糖値が高くなりやすい人が多いことがわかりました。食事量も運動量も少なく、筋肉量も少ない傾向があり、糖を使う場所である筋肉が少ないことが関係していると考えられています。「やせているから大丈夫」とは限らないのです。
砂糖と甘味料のこと
糖質の中でも、とくに気をつけたいのが砂糖です。砂糖は、日々の食事のいろいろなところに、気づかないうちに入っています。
砂糖は、精製された糖
白い砂糖(上白糖やグラニュー糖)は、さとうきびやてん菜から糖だけを取り出して精製したもので、ミネラルはほとんど残っていません。砂糖の種類ごとのミネラルの違いは、このあとの「① 砂糖の種類」の表で紹介します。
砂糖は溶けやすく、すぐに分解されて吸収されるため、血糖値を上げやすい糖です。
甘いものがやめられないのは、意志の弱さだけではない
血糖値を上げやすい食事をとると、数時間後に血糖値が下がったところで、強い空腹感が出やすくなります。GI値の高い食事と低い食事を比べた研究では、高い食事のあと、血糖値が下がった時間帯に空腹感が強くなり、脳の「快感」や「欲求」に関わる部分の働きが高まっていました。甘いものが欲しくなるのは、血糖値の波が起こしている反応でもあるのです。我慢で抑えるより、波そのものを小さくするほうが近道です。
砂糖と虫歯
口の中の細菌は、砂糖を使って歯垢のもとになる物質や、歯を溶かす酸をつくります。そのため砂糖は、虫歯の原因の一つとされています。一方、キシリトールなどの糖アルコールやオリゴ糖の多くは、口の中の細菌に使われにくく、虫歯の原因になりにくい性質があります。
飲み物と調味料に隠れた砂糖
甘いお菓子は食べないという方でも、飲み物や調味料から、気づかないうちに砂糖をとっていることがあります。なかでも甘い飲み物は、噛む必要がなく、すぐに吸収されるため、血糖値をとくに急に上げやすいものです。
疲れたときの栄養ドリンクやエナジードリンクにも、糖が入っているものが多くあります。果汁100%のジュースも、食物繊維がほとんどないため、果物を丸ごと食べるのとは違って、糖がすぐに吸収されます。
「甘いものは食べないのに」という方は、料理の味付けも見てみてください。煮物や照り焼き、すき焼きなど、甘辛い和食の味付けには、砂糖やみりんがたくさん使われています。
スポーツドリンク・経口補水液の原材料
スポーツドリンクは、汗をたくさんかいたときに、水分と塩分を補うためにつくられた飲み物です。同じスポーツドリンクでも、商品によって糖の量も、甘さのもとも違います。砂糖や果糖ぶどう糖液糖と一緒に、人工甘味料が入っているものもあります。
脱水のときに飲む経口補水液にも、人工甘味料が使われているものがあります。「カロリーゼロ」の商品だけでなく、糖が入ったスポーツドリンクや経口補水液でも、原材料表示を確認してみてください。
表示の読み方
加工食品の原材料は、使われている重さの多い順に書かれています。砂糖や「ぶどう糖果糖液糖」などが最初のほうにあれば、それだけ多く入っているということです。
原材料表示の読み方(架空の清涼飲料の例)
名称 清涼飲料水
原材料名 果糖ぶどう糖液糖(国内製造)、果汁、食塩/酸味料、香料、甘味料(スクラロース、アセスルファムK)、ビタミンC
- 1いちばん最初に書かれているものが、いちばん多く使われている原材料です。この例では、糖がいちばん多く入っています。
- 2「/」や改行で区切られたあとは食品添加物です。人工甘味料は「甘味料(〜)」としてここに書かれます。糖と人工甘味料の両方が入っている商品もあります。
また、「糖類ゼロ」は、食品100g(飲み物は100ml)あたりの糖類が0.5g未満のときに表示できます。ただし、糖類は糖質の一部なので、「糖類ゼロ」でもでんぷんや糖アルコールなどが入っていることがあります。そして、ゼロと書かれた甘い商品の多くには、このあと紹介する人工甘味料が使われています。
甘味料の種類
ひと口に甘味料といっても、種類によって、原料も、血糖値への影響もまったく違います。大きく分けると、糖質でできた甘味料(砂糖、でん粉からつくる糖、はちみつなど、オリゴ糖・希少糖、糖アルコール)と、糖質ではない甘味料(天然甘味料、人工甘味料)があります。種類ごとに見ていきましょう。
甘味料の分類
糖質でできた甘味料
(糖質系甘味料)
- ① 砂糖
- ② でん粉からつくる糖
- ③ はちみつ・メープルシロップ・ココナッツシュガーなど
- ④ オリゴ糖・トレハロース・希少糖
- ⑤ 糖アルコール
糖質ではない甘味料
(非糖質系甘味料)
- ⑥ 天然甘味料
- ⑦ 人工甘味料
このあとの①〜⑦の表の見方
特徴の欄の「甘さは砂糖の〜」の砂糖は、砂糖の主成分の「ショ糖」のこと(ほぼショ糖だけでできているグラニュー糖と同じと考えてください)。GI値は、シドニー大学「GIデータベース」の登録値で、「平均」は多くの測定をまとめた国際GI表(Atkinsonら, 2008)の平均値、「(○件)」は登録されている測定の数。「—」は測定が登録されていないもの、「なし」は糖質を含まないためGI値がないもの。
① 砂糖の種類
砂糖は、さとうきびやてん菜の搾り汁を煮詰めてつくります。煮詰めた液には、砂糖の結晶と、ミネラルなどを含む茶色い蜜(糖蜜)が混ざっています。この糖蜜を取り除いて、白い結晶だけを取り出した砂糖を「分蜜糖」、糖蜜を取り除かずに、そのまま固めた砂糖を「含蜜糖」といいます。どの砂糖も主な成分はショ糖で、血糖値を上げることに変わりはありませんが、ミネラルの量は種類によって大きく違います。
| 種類 | GI値 | 特徴 |
|---|---|---|
| 上白糖 分蜜糖 | 65 (平均) | 細かい結晶に糖液をかけた、しっとりした砂糖。国内でいちばん多くつくられている。ミネラルはほとんどない |
| グラニュー糖 分蜜糖 | 65 (平均) | 純度が高く、さらさらした結晶。クセのない甘さ。ミネラルはほとんどない |
| 三温糖 分蜜糖 | 65 (平均) | 上白糖などを取り出したあとの糖液を煮詰めたもの。茶色いのは加熱で色がついただけで、ミネラルは上白糖とほとんど変わらない |
| 白ざら糖・中ざら糖 分蜜糖 | 65 (平均) | 結晶が大きい砂糖。中ざら糖は加熱でカラメル色がついている。ミネラルはほとんどない |
| 角砂糖・氷砂糖・粉砂糖 分蜜糖 | 65 (平均) | グラニュー糖などを固めたり、結晶を大きく育てたり、粉にしたりしたもの。ミネラルはほとんどない |
| 黒砂糖 含蜜糖 | 69〜71 (2件) | さとうきびの搾り汁を、そのまま煮詰めたもの。糖蜜を残しているため、ミネラルが多い(100gあたりマグネシウム31mg、カルシウム240mg) |
| 和三盆 含蜜糖 | — | さとうきびから、日本の伝統的な製法でつくる。口どけがよい(100gあたりマグネシウム17mg、カルシウム27mg) |
| てんさい糖 含蜜糖 | — | てん菜(砂糖大根)からつくる薄茶色の砂糖。てん菜に含まれるオリゴ糖(ラフィノース、ケストース)が残っている |
| きび砂糖 含蜜糖 | — | さとうきびの風味を残した薄茶色の砂糖。決まった定義はなく、作り方やミネラルの量は商品によって違う |
分蜜糖のGI値は主成分のショ糖の値(精糖工業会の報告でも65)。黒砂糖は海外の未精製のさとうきび糖・黒糖の測定値。
出典:農林水産省「違いを知って料理をおいしく!砂糖の種類と製造方法」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」、農畜産業振興機構『砂糖類・でん粉情報』2020年11月号
② でん粉からつくる糖
とうもろこしなどのでんぷんを分解してつくる糖です。清涼飲料や加工食品に多く使われています。
| 種類 | GI値 | 特徴 |
|---|---|---|
| ブドウ糖 | 103 (平均) | でんぷんを分解してつくる。体の中ですぐに血糖になる |
| 果糖 | 15 (平均) | 血糖値はあまり上げないが、ほとんどが肝臓で処理される(下で解説) |
| 水あめ | 107 (1件) | でんぷんを分解した、とろみのある液状の糖(GI値は海外のグルコースシロップの測定) |
| ぶどう糖果糖液糖 | 81 (1件) | 甘さは砂糖の70〜90%。異性化糖のうち、果糖が50%未満のもの(GI値は果糖42%のものの測定) |
| 果糖ぶどう糖液糖 | — | 甘さは砂糖の100〜120%。異性化糖のうち、果糖が50%以上90%未満のもの |
| 高果糖液糖 | — | 異性化糖のうち、果糖が90%以上のもの |
出典:農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
異性化糖は、でんぷんからつくったブドウ糖の一部を果糖に変えた液状の糖で、果糖の割合によって名前が変わります。冷やすと甘く感じやすいため、清涼飲料や冷たいお菓子、調味料によく使われています。原材料表示で「ぶどう糖果糖液糖」と「果糖ぶどう糖液糖」のどちらも見かけるのは、このためです。
果糖は、肝臓で処理される
果糖のGI値は15と低く、血糖値はあまり上げません。ただし果糖は、ほとんどが肝臓で処理され、とりすぎると肝臓で脂肪がつくられやすくなることがわかっています。「血糖値を上げないから安心」とは言えないのが果糖です。果物を丸ごと食べる分には量が限られますが、果糖を多く含む異性化糖や果汁入りの飲み物は、知らないうちにたくさんとりやすくなります。
③ はちみつ・メープルシロップ・ココナッツシュガーなど
自然のものでミネラルも含みますが、主な成分は糖です。血糖値への影響は、砂糖と同じように考えてください。
| 種類 | GI値 | 特徴 |
|---|---|---|
| はちみつ | 61 (平均) | 主な成分はブドウ糖と果糖。花の種類によってGI値は違う |
| メープルシロップ | 54 (1件) | サトウカエデの樹液を煮詰めたもの(100gあたりマグネシウム18mg、カルシウム75mg) |
| 黒蜜 | — | 黒砂糖を溶かして煮詰めたもの(100gあたりマグネシウム17mg、カルシウム140mg) |
| ココナッツシュガー | 54 (1件) | ココヤシの花の蜜(樹液)を煮詰めてつくる砂糖 |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
④ オリゴ糖・トレハロース・希少糖
砂糖とは違う性質をもつ糖です。多くのオリゴ糖は、胃や小腸で消化されずに大腸まで届き、腸内のビフィズス菌のエサになります。GI値の測定は登録されていません。アルロースなどの「希少糖」は、自然界にごくわずかしかない単糖で、体でほとんどエネルギーになりません。
| 種類 | GI値 | 特徴 |
|---|---|---|
| フラクトオリゴ糖 | — | 甘さは砂糖の25〜35%。玉ねぎやごぼうに含まれる。消化されにくく、血糖値をほとんど上げない |
| ガラクトオリゴ糖 | — | 甘さは砂糖の25〜35%。乳糖にガラクトースがついたもの。母乳にも含まれる。消化されにくい |
| イソマルトオリゴ糖 | — | 甘さは砂糖の40〜50%。みりんやしょうゆにも少し含まれる。でんぷんより消化されにくいが、小腸である程度は消化される |
| キシロオリゴ糖 | — | 甘さは砂糖の25〜40%。たけのこやきのこに含まれる。消化されにくい |
| 乳果オリゴ糖 | — | 甘さは砂糖の約50%。乳糖に果糖がついたもの。血糖値やインスリンにほとんど影響しない |
| ラフィノース | — | 甘さは砂糖の約20%。てん菜や大豆に含まれる。消化されにくい |
| トレハロース | 77〜95 (3件) | 甘さは砂糖の38%。きのこやエビに含まれる。小腸で消化・吸収される。ブドウ糖よりはゆるやかだが、血糖値は上がる |
| アルロース (希少糖) | — | 甘さは砂糖の約70%。果糖に酵素を働かせてつくる希少糖。体でほとんどエネルギーにならない(1gあたり約0.2kcal)。でんぷんや砂糖と一緒にとると、食後の血糖値の上昇をおさえることが、ヒトの試験で確かめられている |
出典:農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」、香川大学「香川大学発の新機能糖質『希少糖』」(農畜産業振興機構『砂糖類情報』2018年2月号)
⑤ 糖アルコール
糖に水素を加えて安定させたものです。消化・吸収されにくいため、血糖値を上げにくく、虫歯の原因にもなりにくい性質があります。一方で、多くとるとお腹がゆるくなることがあります。
| 種類 | GI値 | 特徴 |
|---|---|---|
| エリスリトール | — | 甘さは砂糖の約75%。1gあたり0kcal。血糖値やインスリンに影響しない。糖アルコールの中では、お腹がゆるくなりにくい |
| キシリトール | 7〜8 (2件) | 甘さは砂糖と同じくらい。1gあたり3kcal。血糖値を上げない。虫歯の原因にならない |
| ソルビトール | — | 甘さは砂糖の60〜70%。1gあたり3kcal。血糖値を上げない。りんごやプルーンにも含まれる |
| マルチトール | 23〜73 (5件) | 甘さは砂糖の70〜80%。1gあたり2kcal。血糖値への影響は、測定によって差が大きい |
| 還元パラチノース (イソマルト) | 2 (1件) | 甘さは砂糖の45〜60%。1gあたり2kcal。血糖値をほとんど上げない |
| ラクチトール | 3以下 (2件) | 甘さは砂糖の30〜40%。1gあたり2kcal。血糖値を上げない。お腹がゆるくなりやすい |
| マンニトール | — | 甘さは砂糖の55〜70%。1gあたり3kcal。干し柿やきのこにも含まれる |
| 還元水あめ | 25〜47 (2件) | 甘さは砂糖の10〜60%。1gあたり約2kcal。水あめからつくる。製品によって甘さや成分が違う |
出典:農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
⑥ 天然甘味料
植物の実や葉、根から甘い成分を取り出したものです。糖質ではないため、血糖値を上げる働きはほとんどありません。
| 種類 | GI値 | 特徴 |
|---|---|---|
| 羅漢果(ラカンカ) | なし | 中国原産のウリ科の果物の実からとる。甘い成分は「モグロシド」で、ごく少量で強い甘さがある |
| ステビア | なし | 甘さは砂糖の10〜300倍。南米原産のキク科の植物の葉からとる。少量で済むため、実質的に低カロリー |
| 甘草(グリチルリチン) | なし | マメ科の植物「甘草」の根からとる。「甘草抽出物」や「グリチルリチン酸二ナトリウム」として、食品の甘味料に使われている |
出典:農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
市販の「ラカント」は、羅漢果から取り出した羅漢果エキスと、糖アルコールのエリスリトールを合わせた甘味料です。天然甘味料や糖アルコールは、血糖値を上げにくいため、砂糖の代わりの選択肢の一つになります。
⑦ 人工甘味料(健康相談NOZOMIではおすすめしません)
「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」をうたう飲み物やお菓子には、アスパルテームやアセスルファムK、スクラロースなどの人工甘味料がよく使われています。血糖値を直接は上げませんが、健康相談NOZOMIでは、人工甘味料をおすすめしていません。
| 種類 | GI値 | 特徴 |
|---|---|---|
| アスパルテーム | なし | 甘さは砂糖の約200倍。アミノ酸からつくる。飲料や卓上甘味料、ガムなどに使われる |
| アセスルファムK | なし | 甘さは砂糖の約200倍。0kcal。ほかの甘味料と組み合わせて飲料や菓子に使われる |
| スクラロース | なし | 甘さは砂糖の約600倍。砂糖の一部を塩素に置きかえたもの。0kcal。飲料や焼き菓子に使われる |
| サッカリン | なし | 古くから使われている合成甘味料。市販の歯みがき粉には、子ども用も含めて「サッカリンNa」が入っているものが多い。薬の味を整えるためにも使われている |
| ネオテーム | なし | 甘さは砂糖の約7,000〜13,000倍。アスパルテームをもとにつくられた甘味料。甘味料のほか、香りや風味を強める目的でも使われる |
| アドバンテーム | なし | 甘さは砂糖の約14,000〜48,000倍。アスパルテームをもとにつくられた甘味料。ごく少量で甘くなるため、使う量はアスパルテームの100分の1ほど |
出典:農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」、厚生労働省「ネオテームの新規指定について」「アドバンテームの新規指定に関する部会報告書」
人工甘味料については、次のような報告があります。
- アスパルテーム:WHOの国際がん研究機関(IARC)が2023年に、「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)」に分類しました。
- アスパルテーム・アセスルファムK:フランスの約10万人を追った研究で、人工甘味料を多くとっていた人ほど、がんのリスクが高い傾向がみられたと報告されています。
- スクラロース:120℃を超えて加熱すると、有害な物質ができる可能性があるとして、ドイツ連邦リスク評価研究所は、焼く・揚げるなどの高温で加熱しないよう勧めています。
- サッカリン・スクラロース:健康な人が2週間とった試験で、腸内細菌が変わり、血糖値の反応が悪くなった人がいたと報告されています。
- 人工甘味料全般:WHOは2023年、体重を管理する目的で人工甘味料を使わないよう勧める指針を出しました。長くとり続けると、2型糖尿病や心臓・血管の病気のリスクが高くなる可能性も示されています。
私自身、健康のためと思って毎日飲んでいたレモネードの粉末に、2種類の人工甘味料が入っていたことがあります。そのときの話は、代表・山本淳の物語に書いています。人工甘味料と腸内環境の関係は、胃腸の不調を整える方法でもふれています。
ライフステージで見る、糖質との付き合い方
同じ食事でも、年齢や時期によって、血糖値への響き方は変わります。
成長期の子ども
子どもは、ジュースやスポーツドリンク、お菓子から、気づかないうちに砂糖をたくさんとりやすい時期です。朝食が菓子パンだけ、という日が続くと、午前中に血糖値が下がって、集中しにくくなったり、イライラしたりしやすくなります。朝起きられない、立ちくらみがするといったお子さんの不調と血糖値の関係は、朝起きられない・立つとふらつく話や起立性調節障害の話でもまとめています。
月経前や妊活中
血糖値の乱れは、ホルモンバランスに影響を与えるとも言われています。妊活中の体づくりについては、妊活で見落とされがちな「栄養の土台」でまとめています。
年齢を重ねてから
年齢とともに筋肉が落ちると、糖を取り込む場所も減っていきます。食が細くなり、パンや麺、おかゆなど、食べやすい主食だけで済ませる食事が増えると、たんぱく質も不足しやすくなります。おかずを先に、主食はあとに、という食べ方が、筋肉と血糖値の両方を守る土台になります。
糖質はどれくらいとればいい?人によって違います
糖質をどれくらいとると体調がよいかは、人によって大きく違います。糖質をかなり控えて体調がよい方もいれば、しっかり食べたほうが体調が整う方もいます。毎日スポーツをしている方と、デスクワーク中心の方とでは、使うエネルギーの量も違います。
糖質が少ないとき、体は糖を自分でつくる
食事からの糖質が少ないとき、体は血糖値を保つために、肝臓でブドウ糖をつくります。これを「糖新生」といいます。材料になるのは、たんぱく質を分解してできるアミノ酸、脂肪を分解してできるグリセロール、筋肉などでできる乳酸です。脂肪からも、糖はつくられているのです。赤血球のように、ブドウ糖しかエネルギーにできない細胞もあるため、体は糖質をとらない日でも、糖新生で必要な糖をつくり続けています。
脂肪からつくる「ケトン体」も、エネルギーになる
さらに、脂肪を分解してできる脂肪酸からは、肝臓で「ケトン体」という物質がつくられ、脳や筋肉のエネルギーとして使われます。「脳はブドウ糖しか使えない」と言われることがありますが、脳はケトン体も使えるのです。食事の糖質が少なくても、体は脂肪やたんぱく質から、糖とケトン体の両方をつくってエネルギーをまかなうことができます。糖質を控えても調子がよい方がいるのは、このためです。
ただし、たんぱく質や脂質も足りないまま糖質を減らすと、糖新生の材料に筋肉のたんぱく質が使われ、疲れやすくなったり、筋肉が落ちやすくなったりすることがあります。糖質を控えるときほど、たんぱく質と脂質をしっかりとることが大切です。
食べない時間をつくるファスティングという方法もあります。ファスティングについてはバイタルファスティングの話でまとめています。実施できない方の条件もあるため、始める前によくある質問で確認してください。
体質によっても、体の反応は違う
健康相談NOZOMIでは、生まれ持った体質を「胚葉タイプ」という考え方で見ています。たとえば内胚葉優位タイプの方は、糖質をため込みやすい傾向があります。同じ量の糖質を食べても、体質によって体の反応は違うのです。自分のタイプは、7問でわかる胚葉タイプ診断で確かめられます。
運動量、生活のリズム、体質、そして今の体の状態。糖質の量は、こうしたものを合わせて考える必要があります。健康相談NOZOMIでは、その方の状態に合わせて、糖質の量やとり方をご提案しています。
※糖尿病の薬(血糖値を下げるお薬)を飲んでいる方は、糖質を急に減らしたり、食事を抜いたりすると、血糖値が下がりすぎることがあるため、医師の指示のもとで食事の内容を決めてください。
食事で取り入れるコツ
糖質をどれくらいとるかは、人によって違います。ゼロに近づけたほうが体調がよい方もいれば、しっかりとったほうが体調がよい方もいます。どちらの方でも、糖質をとるときに大切なのは、糖質を最初に、糖質だけで食べないことです。まずたんぱく質や脂質、食物繊維などのおかずで栄養をとり、そのあとに糖質をとりましょう。「血糖値の波が起きるしくみ」の図の青い線のように、血糖値がゆるやかに上がって、ゆるやかに戻りやすくなります。
主な食品の糖質量とGI値
主食やいも類、果物の糖質量とGI値をまとめました。
| 食品 | 100gあたり | 食べる量の目安 | GI値 |
|---|---|---|---|
| ご飯(白米) | 35.6g | 茶碗1杯(150g)で約53g | 73 |
| 玄米ご飯 | 34.2g | 茶碗1杯(150g)で約51g | 68 |
| じゃがいも(水煮) | 13.8g | 中1個(150g)で約21g | 78 |
| さつまいも(蒸し) | 29.6g | 1/2本(100g)で約30g | 63 |
| かぼちゃ(ゆで) | 17.2g | 煮物3切れ(100g)で約17g | 64 |
| バナナ | 21.4g | 1本(100g)で約21g | 51 |
| りんご | 14.1g | 1/2個(125g)で約18g | 36 |
糖質は、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の炭水化物から食物繊維を引いて計算。GI値は、シドニー大学のグループがまとめた国際GI表(Atkinsonら, 2008)の平均値。
GI値だけでなく、量も見る(GL値)
GI値は「血糖値の上がりやすさ」の目安ですが、食べる量までは表していません。そこで使われるのがGL値(グリセミック・ロード)です。食品に含まれる糖質の量にGI値をかけて100で割った値で、上がりやすさと量の両方がわかります。GI値が低い食品でも、たくさん食べればGL値は高くなります。「低GIならいくら食べてもいい」わけではありません。
同じ食品でも、調理や形で変わる
GI値は、同じ食品でも、調理の仕方や形によって変わります。たとえば、ご飯(白米)が73なのに対して、米のおかゆは78。ゆでたじゃがいもが78なのに対して、インスタントのマッシュポテトは87です。やわらかく、細かくなったものほど、消化が早く、血糖値が上がりやすくなります。よく噛んで食べることも、ゆっくり吸収させる助けになります。
食物繊維が、糖の吸収をゆるやかにする
野菜や海藻、きのこなどに含まれる食物繊維は、糖の吸収をゆるやかにします。玄米が白米よりGI値が低いのも、精製されずに残った外側の部分のおかげです。精製されていない主食には、ビタミンB1やマグネシウムも多く残っています。ご飯100gあたりのビタミンB1は、白米が0.02mg、玄米が0.16mgです。
食べる順番は、自分に合う方法で
血糖値の上がり方をゆるやかにする食べ方には、大きく2つの考え方があります。
- 野菜から食べる(ベジファースト):食物繊維を先にとり、糖の吸収をゆるやかにする方法です。ただし、野菜から食べた研究では、野菜に油の入ったドレッシングがかかっていることも多く、効いたのが野菜なのか油なのかははっきりしない、という指摘もあります。
- 肉・魚・卵・大豆製品から食べる:魚や肉をご飯より先に食べると、食後の血糖値の上がり方がゆるやかになったという研究があります。肉や魚には、たんぱく質と脂質(油)の両方が含まれていて、どちらも胃から腸へ食べ物が送られる速さをゆっくりにします。たんぱく質に注目して「プロテインファースト」、油に注目して「オイルファースト」とも呼ばれ、呼び方は違っても、油やたんぱく質を含むものから食べて、主食を最後にする点は同じです。
食べる順番の2つの方法
どちらの方法でも、主食(糖質)は最後。
どちらの方法にも共通しているのは、主食(糖質)を最初に食べないことです。野菜からでも、肉や魚からでも、自分が続けやすい方法を選んでください。
主食の選び方と、グルテンフリー
分子栄養学では、小麦に含まれるグルテンが腸に負担をかけることがあると考え、パンや麺類などの小麦製品を控える「グルテンフリー」をおすすめしています(胃腸の不調を整える方法)。そのため、この記事の表にもパンや麺類は入れていません。主食は、ご飯(できれば玄米や分づき米)や、いも類、かぼちゃなどから選ぶと、血糖値と腸の両方にやさしくなります。糖質をとるなら、かぼちゃやいも類、季節の果物など、ほかの栄養も一緒にとれるものを選びましょう。
甘い飲み物は、水に
取り組みやすいのが、甘い飲み物を水に替えることです。ジュースやスポーツドリンク、加糖のコーヒーを、毎日の習慣で飲んでいないか、まず振り返ってみてください。
酢を料理に取り入れる
酢を一緒にとると、食後の血糖値やインスリンの上がり方が小さくなり、満腹感も高まったという研究があります。酢の物やマリネ、ドレッシングなど、料理に酢を取り入れるのも一つの方法です。
食事の回数も、人によって違う
食事の回数は、人によってさまざまです。1日3食の方もいれば、1日1食の方もいます。2型糖尿病の方を対象にした研究では、朝食を抜いた日は、昼食や夕食のあとの血糖値が上がりやすくなりました。3食とる方は、朝食にも卵や納豆、魚など、たんぱく質のおかずを入れましょう。
体を大きくするための食べ方として知られているのが、お相撲さんの食事です。朝稽古のために朝食を抜き、昼と夜の2食で食べるのが昔からの習慣です。長い空腹のあとに、まとめてたくさん食べます。同じ「朝食を抜く」でも、何を、どれだけ、どう食べるかで、体への影響はまったく違うのです。
小腹がすいたときや、空腹で手が震えるようなときも、甘いもので急いで血糖値を上げるより、ゆで卵やナッツ、小さめのおにぎりに鮭やツナを合わせたものなど、たんぱく質や脂質を含むものを選ぶと、血糖値がゆるやかに保たれます。血糖値が下がりやすい方は、1回の食事量を少なめにして、間食を含めて回数を分けるのも一つの方法です。
甘いものが欲しくなったときの置きかえの例
| よく手が伸びるもの | 置きかえの例 |
|---|---|
| 朝食が菓子パンやおにぎりだけ | 卵や納豆、焼き魚などのおかずを1品足す |
| 甘い缶コーヒーやジュース | 水 |
| 夕方のお菓子 | ナッツ、ゆで卵 |
| 小腹がすいたときのチョコレート | 小さめのおにぎりに鮭やツナを合わせる |
※例のひとつです。置きかえ方は、食事の内容や体調に合わせて選んでください。
食後に少し体を動かす
食後に軽く体を動かすと、筋肉が糖を取り込み、血糖値が下がりやすくなります。散歩のほか、家事をしながらのつま先立ちやスクワットなど、筋肉を使う動きを日常に取り入れるだけでも違います。
糖を使うときに関わる栄養素とサプリメント
食べた糖質をエネルギーに変えたり、インスリンが働いたりするときには、ビタミンやミネラルが必要です。糖質の多い食事が続くと、こうした栄養素の消費が増え、足りなくなるとさらに糖を使いにくくなります。
| 栄養素 | 糖との関係 |
|---|---|
| ビタミンB1 | ブドウ糖をエネルギーに変えるときに欠かせない |
| マグネシウム | インスリンの働きを支え、血糖の調整に関わる |
| 亜鉛 | インスリンをつくり、たくわえる働きに関わる |
| クロム | 不足すると、インスリンが効きにくくなることとの関連が報告されている |
食事を土台にしながら、足りない分はサプリメントで補うこともできます。サプリメントは食後にとりましょう。どの栄養素が足りていないか、どれくらいの量が必要かは、食事内容や体の状態によって人それぞれです。自己判断で選ぶより、今の体の状態を確認したうえで決めることをおすすめします。
サプリメントに迷ったら
健康相談NOZOMIでは、品質と安全性に配慮したサプリメントを取り扱っています。「糖質のとり方が合っていないかも」と感じたときは、今の食事や体調をお聞かせください。その方に合った種類や量、組み合わせまで、ご提案します。
よくある質問
糖質が多い食品は何ですか?
ご飯などの主食、いも類、果物、砂糖を使ったお菓子や甘い飲み物に多く含まれています。たとえば、ご飯は茶碗1杯(150g)で糖質が約53gです。
糖質制限はしたほうがいいですか?
糖質をどれくらいとると体調がよいかは、人によって大きく違います。糖質をかなり控えて調子がよい方もいれば、しっかり食べたほうが調子がよい方もいます。運動量や生活のリズム、体質によっても変わるため、健康相談NOZOMIでは、その方の状態に合わせて糖質の量やとり方をご提案しています。
果物は控えたほうがいいですか?
果物は、ビタミンやミネラル、食物繊維、水分も一緒にとれる食品です。食べる量やタイミングにはいろいろな考え方があり、どれくらい食べると体調がよいかは人によって違います。なお、果汁100%のジュースは食物繊維がほとんどなく、果物を丸ごと食べるのとは違って、糖がすぐに吸収されます。
甘いものがやめられないのはなぜですか?
血糖値が急に上がったあとに下がると、強い空腹感が出て、また甘いものが欲しくなりやすくなります。意志の弱さだけが理由ではありません。甘いものを我慢するより、食事にたんぱく質や脂質のおかずをしっかり入れて、血糖値の波を小さくするところから始めてみてください。
「糖質ゼロ」と「糖類ゼロ」は何が違いますか?
糖類は、糖質のうち砂糖やブドウ糖、果糖などの甘い糖だけを指します。「糖類ゼロ」でも、でんぷんや糖アルコールなど、糖類以外の糖質が入っていることがあります。また、ゼロと書かれた商品には、人工甘味料が使われていることも多いので、原材料表示もあわせて確認してください。
ベジファーストとプロテインファースト、どちらがいいですか?
どちらでもかまいません。野菜から食べても、肉・魚・卵・大豆製品から食べても、主食(糖質)を最後にすれば、食後の血糖値はゆるやかに上がりやすくなります。油やたんぱく質を含むものから食べる「オイルファースト」も、プロテインファーストと同じ考え方です。続けやすい方法を選んでください。
人工甘味料なら、血糖値が上がらないので安心ですか?
人工甘味料は血糖値を直接は上げませんが、発がん性の可能性や、腸内細菌への影響などが報告されています。WHOも2023年に、体重を管理する目的で人工甘味料を使わないよう勧める指針を出しました。健康相談NOZOMIでは、人工甘味料をおすすめしていません。
黒糖やきび砂糖なら、体にいいですか?
黒糖は、糖蜜を残しているため、白い砂糖よりマグネシウムやカルシウム、カリウムなどのミネラルがずっと多く含まれています。ただし、主な成分は白い砂糖と同じショ糖で、GI値も、白い砂糖の65に対して、海外の未精製のさとうきび糖・黒糖の測定で69〜71と、大きくは変わりません。ミネラルの面では白い砂糖より優れていますが、血糖値を上げることに変わりはありません。きび砂糖は決まった定義がなく、商品によって作り方もミネラルの量も違うため、栄養成分表示を確認してください。
まとめ|食後の眠気から、糖質のとり方を見直す
この記事のポイント
- 糖質は、すぐに使える大切なエネルギー源です。三大栄養素のうち、血糖値を上げるのは糖質だけです。
- 糖質を空腹のときに、糖質だけでとると、血糖値が急に上がって急に下がる「血糖値の波」が起きやすくなります。
- 血糖値が下がるときに出るストレスホルモンは、眠気やだるさ、イライラ、冷えや頭痛などにつながり、副腎にも負担をかけます。
- 波をくり返すと、酸化ストレスや糖化(AGEs)が進み、肌や血管、骨、脳にも影響します。
- 砂糖は、飲み物や調味料に隠れています。人工甘味料は、健康相談NOZOMIではおすすめしていません。
- 糖質をどれくらいとると体調がよいかは、運動量や生活、体質によって人それぞれです。
- 食べる順番は、野菜からでも、肉や魚からでもかまいません。主食を最初に食べないことが大切です。
参考にした情報
- 一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所「糖質」
- オーソモレキュラー・タイムズ(特定非営利活動法人オーソモレキュラー分子栄養医学協会)「分子栄養学の基礎用語『血糖値』、『糖質』、『GI値』、『GL値』って何ですか?」
- オーソモレキュラー・タイムズ「スリムな若い女性(18~29歳)に食後高血糖が多い⁉ 日本人に関する研究」
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 農林水産省「違いを知って料理をおいしく!砂糖の種類と製造方法」(aff 2021年11月号)
- 独立行政法人農畜産業振興機構「砂糖以外の甘味料について」
- The University of Sydney「Glycemic Index Database」
- Atkinson FS, et al. International Tables of Glycemic Index and Glycemic Load Values: 2008. Diabetes Care. 2008
- 精糖工業会「砂糖と健康」研究プロジェクト「科学的根拠を基に『砂糖と健康』を考える」(農畜産業振興機構『砂糖類・でん粉情報』2020年11月号)
- IARC・JECFA「Aspartame hazard and risk assessment results released」(2023)
- WHO「Guideline on use of non-sugar sweeteners」(2023)
- ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)「Sucralose: heating above 120°C can produce substances that are harmful to health」
- Debras C, et al. Artificial sweeteners and cancer risk. PLOS Medicine. 2022
- Suez J, et al. Personalized microbiome-driven effects of non-nutritive sweeteners on human glucose tolerance. Cell. 2022



