起立性調節障害 | Column

朝起きられない、立つとふらつく。
それは起立性調節障害かもしれません

健康相談NOZOMI 代表 山本淳

健康相談NOZOMI 代表 山本 淳

分子栄養学カウンセラー/バイタルファスティングマイスター

NPO法人オーソモレキュラー分子栄養医学協会の認定講師。自身も原因のわからない不調に悩んだ経験を持ち、お子さまから大人まで、自律神経や栄養に関わる相談に寄り添っています。

朝、なかなか起き上がれずつらそうにする中学生の女の子

朝、なかなか起き上がれない。立ち上がるとめまいやふらつきが起きる。午前中はどうしても体が動かない——。こうした不調は、本人の意志や気合いの問題ではなく、自律神経の乱れによる起立性調節障害(OD)が背景にあることがあります。「怠け」と誤解されやすいこの不調について、しくみと、栄養・生活からできることを順にお伝えします。

「朝だけ体が動かない」は、意志の弱さではないかもしれません

起立性調節障害では、朝にもっとも症状が強く出やすいのが特徴です。朝は自律神経の切り替えがうまく働かず、立ち上がったときに血液が下半身に偏り、脳や上半身への血流が確保されにくくなります。「やる気がない」「怠けている」と見られがちですが、体の内側では実際に血流の調整が追いついていない状態が起きています。

自律神経は、意識しなくても体を調整している

自律神経は、心臓の拍動・血圧・血流・体温などを、意識しなくても調整するしくみです。活動モードの交感神経と、休息モードの副交感神経がバランスよく切り替わることで、体は環境の変化に適応します。起立性調節障害では、この切り替えが遅れたり乱れたりして、立ち上がったときに脳への血流が維持されにくくなります。

起立性調節障害の主な症状と特徴

こんなサインはありませんか

  • 立ち上がったときのめまい・ふらつき・動悸
  • 朝起きられない、午前中は体が動かない
  • 頭痛・吐き気・倦怠感が続く
  • 長時間立っていられない/横になると楽になる
  • 午後から夕方にかけて元気が出てくる
  • 集中力の低下や、睡眠リズムの乱れ

外見は「ぐったりしている」「元気がない」と見えるため、怠けや気持ちの問題と誤解されやすい面があります。頭痛・腹痛・倦怠感・集中力の低下などが重なって現れることもあります。学校に行きづらい・日常生活がつらいと感じることもあるので、まずは「これは体の不調かもしれない」と気づいてあげることが第一歩です。

自律神経の乱れを引き起こしやすい要因

成長期と自律神経

起立性調節障害は思春期に多く見られますが、大人にも起こります。成長期は体の発達が急速に進む時期です。身長が伸びると血液を送る距離も長くなり、心臓や血管への負担が相対的に増えることも関係すると考えられています。

ストレス・睡眠・生活リズム

精神的なストレスや、不規則な睡眠・生活リズムの乱れは、自律神経のバランスに影響します。夜更かしや昼夜逆転が続くと切り替えはさらに乱れやすく、スマートフォンやパソコンの長時間使用による刺激も影響が指摘されています。

栄養と自律神経・血流の関係

鉄やビタミンB群などの不足が、起立性調節障害の症状に影響していることがあります。とくに関わりの深いものを確認しておきましょう。

Iron

全身へ酸素を運び、自律神経を支える物質の合成にも関与。不足すると脳への酸素供給が落ち、立ち上がり時の不調が悪化しやすくなります。

多く含む食品:赤身肉・レバー・あさり・小松菜

ビタミンB群 Vit. B

神経の働きを正常に保つ栄養素。B1・B6・B12が不足すると、神経の過敏さ・疲れやすさ・集中力低下が出やすくなります。

多く含む食品:豚肉・レバー・卵・納豆・玄米

タンパク質 Protein

エネルギー産生や神経の材料に。とくに朝食でのタンパク質は、午前中のリズムを整える助けになります。

多く含む食品:卵・納豆・魚・肉

水分・塩分 Water & Salt

血液量を保ち、立ち上がり時の血圧維持をサポート。こまめな水分と適度な塩分が役立つことがあります。

意識したい:こまめな水分補給/食事での塩分

ここがポイント

栄養は、腸で吸収されてはじめて体に届きます。せっかく補っても腸の調子が悪いと活かしきれないため、あわせて胃腸の不調を整える方法もご覧ください。血糖値の乱れと自律神経の関係はやる気・疲れの記事でも触れています。

日常生活で取り入れやすいアプローチ

起き上がり方を、ゆっくり段階的に

急に立つと血流が下がりやすいので、まずベッドの端に座り、足首を動かして血流を促してから立つ。これだけで楽になることがあります。

無理のない範囲で体を動かす

過度な安静は調節力をさらに下げることも。ウォーキングや軽いストレッチなど、できる範囲で体を動かす時間を少しずつ。

生活リズムと体内時計を整える

毎日できるだけ同じ時間に起きることが、自律神経の安定につながります。寝る前のスマホ時間の見直しも有効です。

朝食を少しでもとり、血糖を安定させる

欠食やまとめ食いは血糖の乱れを招き、自律神経の負担に。毎食タンパク質を意識し、まず朝に少しでも食べることが一日のリズムをつくります。

よくある質問

起立性調節障害は、栄養の面から改善できますか?

鉄・ビタミンB群・タンパク質などの不足が、症状に影響していることがあります。食事の見直しや、必要に応じたサプリメントの活用は、整えるためのアプローチのひとつになります。

病院で「異常なし」と言われましたが、自律神経の乱れの可能性は?

一般的な血液検査では、フェリチン(貯蔵鉄)や神経に関わるビタミン・ミネラルの細かい状態まで確認されないことが多いものです。数値上は問題なくても、栄養の状態が自律神経の働きに影響していることがあります。

子どもに症状がありますが、相談できますか?

思春期に多く見られるため、お子さんや学生に関するご相談、保護者の方からのご相談も承っています。年齢や生活環境に応じた個別のアプローチを一緒に整理します。

まとめ|「怠け」ではなく、整えられる不調です

朝起きられない・立つとふらつくのは、気合いの問題ではなく、自律神経と血流、そして栄養が関わる不調です。起き上がり方を工夫し、生活リズムを整え、鉄・ビタミンB群・タンパク質・水分塩分を意識する。栄養と生活から、今日できることはたくさんあります。お子さんのことで悩んでいる方も、一人で抱え込まず、まずは気軽にご相談ください。

※本記事は栄養や生活習慣に関する一般的な情報提供を目的としたもので、起立性調節障害の診断・治療を目的としたものではありません。症状が続く場合や日常生活に支障がある場合は、医療機関への受診をおすすめします。
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