「夜中にふくらはぎがつって目が覚める」「寝つきが悪く、朝になっても体が休まった感じがしない」「まぶたがピクピクする、些細なことでイライラする」——そんな方へ。マグネシウムは、300種類以上の酵素の働きに関わり、エネルギーづくり・筋肉・神経を裏で支えているミネラルです。この記事では、マグネシウムの役割、足りないときに出やすいサイン、不足しやすい背景、食事での取り入れ方、サプリメントの選び方を、分子栄養学の視点でまとめました。栄養素シリーズの第2回です(第1回は「隠れ鉄不足」とフェリチンの話)。
マグネシウムとは
成人の体内に約25gあり、半分以上が骨に、残りが筋肉・脳や神経・血液などに存在するミネラルです。300種類以上の酵素の働きを助け、エネルギーづくり、筋肉の動き、神経の伝達に関わっています。体の中でつくることはできないため、食事やサプリメントから取り入れます。
休んでいるはずなのに、体が休まらない
夜中や明け方に足がつって目が覚める、寝ても疲れが残る、肩や首がガチガチに固まっている、ちょっとしたことでイライラしてしまう。こうした状態が続くと、「年齢のせいかな」「ストレスのせいかな」と、自分の中で片づけてしまいがちです。
マグネシウムの難しいところは、血液の検査だけでは全体像がつかみにくい点です。血液中にあるのは体内のマグネシウムのごく一部(約1%といわれます)で、大半は骨や筋肉、細胞の中にあります。だからこそ、数値より先に、体に出るサインと日々の食生活から見直す視点が役に立ちます。疲れやだるさが長引くときは、「気持ちの問題」ではない可能性もあります。
こんなことはありませんか
- 夜中や明け方に、ふくらはぎがつる
- まぶたや指先がピクピクすることがある
- 寝つきが悪い、眠りが浅く夜中に目が覚める
- 肩・首・背中のこりが、休んでも抜けない
- 些細なことでイライラする、気持ちが張りつめている
- 疲れやすく、お通じも安定しない
マグネシウムは、体の中で何をしているのか
ミネラルというと「骨をつくる栄養素」を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれどもマグネシウムは、骨だけでなく、体のあらゆる場所で働く「調整役」です。代表的な働きを5つ挙げます。
エネルギーをつくる
食べたものは、細胞の中でATP(体のエネルギーの通貨のようなもの)に変わります。細胞の中のATPの大部分は、マグネシウムと結びついた形で働いています。マグネシウムが足りなくなると、エネルギーをつくって使う流れが滞りやすくなり、疲れやすさとして感じられることがあります。
筋肉を「ゆるめる」ところを支える
筋肉が縮むときにはカルシウムが、縮んだ筋肉がゆるむときにはマグネシウムが関わります。アクセルとブレーキのように、この2つのバランスで筋肉の動きが調整されています。
2つのバランスで筋肉の動きが調整されます。
神経の高ぶりを落ち着かせる
神経が興奮を伝えるとき、マグネシウムはブレーキ役の一端を担っています。気持ちが張りつめやすいとき、眠りにつきにくいときに、この働きが関わっていると考えられています。詳しくはこころの不調と栄養の関係や睡眠と栄養もご覧ください。
骨の材料になる
体の中のマグネシウムの半分以上は、骨にあります。カルシウムとともに骨の材料になり、骨の質を保つ働きに関わっています。
血糖の調整に関わる
食事でとった糖を細胞に取り込み、エネルギーとして使う流れにも、マグネシウムが関わっています。血糖を下げるインスリンの働きを支える栄養素のひとつとしても知られています。血糖値の波については、糖質と血糖値の波の話でまとめています。
このほかにも、血圧の調整に関わる酵素を助けるなど、マグネシウムが関わる働きは多岐にわたります。
マグネシウムが足りないときに出やすいサイン
不足したときの現れ方は人によって違い、複数が重なって出ることもあります。心当たりのあるものが複数あれば、食事にマグネシウムを取り入れてみる、ひとつのきっかけになります。
こむら返り・筋肉のけいれん Cramp
夜中や明け方に足がつる、まぶたや指先がピクピクする。
よくある場面:就寝中・運動のあと
こり・体のこわばり Stiffness
首や背中がガチガチで、休んでも抜けにくい。
よくある場面:長時間のデスクワーク
頭痛 Headache
頭が締めつけられるように重い、ズキズキする日が多い。
よくある場面:夕方・忙しい日の終わり
集中しにくい・物忘れ Focus
考えがまとまらない、うっかりが増えた。
よくある場面:仕事や勉強の途中
マグネシウムが不足しやすい背景
マグネシウムは、「入ってくる量が少ない」「使われやすい」「出ていきやすい」という、いくつかの方向から不足しやすい栄養素です。
食事から入る量が少ない Intake
種実・海藻・豆類・青菜など、マグネシウムを含む食品が食卓に少ない。外食や加工食品が中心だと、届きにくくなります。
精製・加工で減る Refining
白米は、玄米に比べてマグネシウムが少なくなります。精白の過程で、多く含まれる胚芽やぬかが取り除かれるためです。
甘いもの・糖質のとりすぎ Sugar
糖をエネルギーに変えるときにもマグネシウムが使われるため、甘いものや糖質の多い食事が続くと、消耗しやすくなります。
ストレスで使われる Stress
緊張や強いストレスが続くと、マグネシウムが消耗しやすいといわれます。
年齢とともに Age
年齢を重ねると、腸から吸収する力が落ち、尿から出ていきやすくなるといわれます。
出ていきやすい Loss
汗を多くかく、お酒を飲む習慣があるなどで、尿や汗からの排出が増えることが知られています。
ここがポイント
マグネシウムは、食事で「摂る量」だけでなく、「使われる量」「出ていく量」まで含めて見ることが大切です。胃腸の状態も吸収に関わるため、胃腸の不調を整える方法もあわせてご参考にしてください。
食事で取り入れるコツ
マグネシウムは、ナッツや種実、海藻、豆類、緑の葉物など、加工の少ない自然に近い食品に多く含まれています。毎日の食事に少しずつ足していくイメージで取り入れてみてください。
| 食品群 | 食品の例 | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 種実類 | アーモンド・くるみ・ごま | 間食、料理のトッピング |
| 海藻類 | わかめ・ひじき・のり | スープ、煮物、サラダ |
| 大豆製品 | にがりで固めた豆腐 | 主菜、汁物 |
| 青菜 | ほうれん草・小松菜 | 煮浸し、スープ |
| 玄米・雑穀 | 玄米・雑穀ごはん | 主食に混ぜる |
食事だけで十分な量を毎日続けるのは、意外と手間がかかります。食事を土台にしながら、届きにくい分はサプリメントで補うこともできます。選ぶときのポイントを「マグネシウムのサプリメントの選び方」にまとめました。
おさらい
食事のポイントは、種実・海藻・豆腐・青菜を、間食や副菜に少しずつ足していくこと。届きにくい分は、サプリメントで補うこともできます。体質や胃腸の状態による個人差が大きいため、「これだけ食べれば大丈夫」という食品はありません。
マグネシウムのサプリメントの選び方
食事だけでは届きにくいとき、サプリメントは心強い選択肢です。ただしマグネシウムは、「どの形のものを、どれくらいの量で、どう続けるか」によって、体への届き方もお腹の感じ方も変わります。
① 形(種類)によって、体への届き方が違う
マグネシウムは、結びついている物質によっていくつかの種類があります。代表的なものの特徴を整理しました。
| 種類 | 特徴 | ひとこと |
|---|---|---|
| クエン酸マグネシウム | 水に溶けやすく、吸収されやすいとされる | 胃腸にも比較的やさしい形とされ、サプリメントで広く使われている |
| 塩化マグネシウム | にがりの主成分。水に溶けやすく、吸収されやすいとされる | 粉末や液体のタイプがあり、味に苦みがある |
| リンゴ酸マグネシウム | 果物にも含まれる有機酸(リンゴ酸)と結びついたタイプ | 吸収されやすいとされ、複数の種類から選ぶときの候補になる |
パッケージでは、化合物の重さではなく、「マグネシウムとして何mg入っているか」を見るのがポイントです。種類によって、同じ重さでも含まれるマグネシウムの量が違います。
② 量と続け方は、お腹の様子に合わせる
マグネシウムは、摂りすぎると、吸収されなかった分が腸に残ってお腹がゆるくなることがあります。少量から始めて、朝と夜に分けるなど、お腹の様子を見ながら調整する方法があります。
マグネシウムは、単体のサプリメントでとってもかまいません。反対に、カルシウムだけのサプリメントはおすすめしません(理由はカルシウムの話でまとめています)。ほかの栄養素との組み合わせでは、ビタミンB6が、マグネシウムを細胞の中へ取り込む働きを助けるといわれます。
サプリメントに迷ったら
健康相談NOZOMIでは、品質と安全性に配慮したサプリメントを取り扱っています。「マグネシウムが足りていないかも」と感じたときは、今の食事や体調をお聞かせください。その方に合った種類や量まで、ご提案します。
よくある質問
マグネシウムは、夜に飲むほうがいいですか?
決まった正解はありません。食後に取り入れるとお腹への負担が少なく、就寝前のほうが習慣にしやすいという方もいます。量が多いときは、朝と夜に分けると、お腹がゆるくなりにくくなります。飲むタイミングや量は、体の状態によって変わります。
マグネシウムでお腹がゆるくなるのはなぜですか?
吸収されなかったマグネシウムが腸に残り、水分を引き込むためです。種類、量、飲み方によって出方が変わります。ゆるくなりやすい方は、種類を見直す、量を減らす、朝と夜に分けて飲むといった方法があります。
マグネシウムとカルシウムの飲み合わせは、気にしたほうがいいですか?
マグネシウムは、単体のサプリメントでとってもかまいません。カルシウムをサプリメントでとるときは、カルシウムだけのものではなく、マグネシウムもあわせて配合されたものをおすすめします。健康相談NOZOMIでは、普段の食事を伺ったうえで、とり方をご提案しています。
食事だけで足りますか?
種実・海藻・豆腐・青菜を意識すると、摂取量を増やすことはできます。ただ、十分な量を毎日続けるには手間がかかり、届きにくいと感じる方も少なくありません。食事を土台にしながら、足りない分をサプリメントで補うこともできます。必要な量は人によって違うため、状態を確認したうえで選ぶことをおすすめします。
まとめ|体に出るサインから、マグネシウムを見直す
この記事のポイント
- マグネシウムは、エネルギーづくり・筋肉・神経を支える「調整役」のミネラル。血液には体内の一部しかないため、数値だけでは全体像がつかみにくい栄養素です。
- こむら返り、寝つきの悪さ、こり、頭痛、イライラなどのサインが重なるときは、食事の内容を見直すきっかけになります。
- 食事を土台に、届きにくい分はサプリメントで補うこともできます。種類・量・続け方は、体の状態に合わせて選びます。
夜中の足のつりや、休まらない感じを「よくあること」で終わらせず、まずは食卓を見直すところから始めてみてください。



