「暗い場所で目が慣れるのに時間がかかる」「目が乾く」「肌がカサつく」「風邪をひきやすい」——そんな方へ。ビタミンAは、目の働きや、皮膚・粘膜、免疫を支えている脂溶性のビタミンです。この記事では、ビタミンAの役割、足りないときに出やすいサイン、不足しやすい背景、動物性と植物性の違い、食品ごとのビタミンAの量、食事とサプリメントの考え方を、分子栄養学の視点でまとめました。栄養素シリーズの第5回です(第1回は「隠れ鉄不足」とフェリチンの話、第2回はマグネシウムの話、第3回は亜鉛の話、第4回はカルシウムの話)。
ビタミンAとは
脂溶性のビタミンで、目の働きや、皮膚・粘膜を保つ働き、免疫の働きを支えています。動物性食品に含まれる「レチノール」と、緑黄色野菜に含まれる「β-カロテン」など、いくつかの形があります。体の中でつくることはできないため、食事やサプリメントから取り入れます。
見えにくさや肌の乾燥を、年齢のせいにしていませんか
「最近、暗い場所で目が慣れるのに時間がかかる」「肌が乾燥しやすくなった」「風邪をひくと治りにくい」。こうした変化が重なると、「年齢のせいかな」「乾燥する季節だからかな」と、そのままにしてしまいがちです。
ビタミンAは、目、皮膚、粘膜、免疫という、体の中でも入れ替わりの早い場所で働き続けています。だからこそ、食事の内容が変わると、届く量も変わりやすい栄養素です。まずは、食卓を振り返るところから始めてみてください。
こんなことはありませんか
- 暗い場所で、目が慣れるまでに時間がかかる
- 目が乾く、しょぼしょぼする
- 肌が乾燥しやすい、ざらつく部分がある
- 喉や鼻の粘膜が乾きやすい
- 風邪をひきやすく、治るまでに時間がかかる
- レバーや緑黄色野菜を食べる機会が少ない
ビタミンAは、体の中で何をしているのか
ビタミンAは、体のあちこちで「粘膜と細胞を保つ」働きをしています。代表的な働きを3つ挙げます。
暗い場所で目を働かせる
目の網膜にある、光を感じ取る物質の材料になります。暗い場所で目が慣れる働き(暗順応)に関わり、不足すると、暗い場所で見えにくくなることが知られています。
皮膚と粘膜を保つ
皮膚や、喉・鼻・腸などの粘膜は、新しい細胞へ入れ替わるスピードが速い場所です。ビタミンAは、この入れ替わりに関わり、粘膜や皮膚の状態を保つ働きをしています。
免疫の働きを支える
体を守る免疫の働きにも、ビタミンAは関わっています。風邪をひきやすい、治りにくいと感じるときは、食事の内容を見直すきっかけになります。粘膜で体を守る抗体(IgA)をつくる働きにも関わっています。亜鉛とともに、免疫を支える栄養素のひとつです。
このほかにも、体の成長や、細胞の分化に関わるなど、ビタミンAが関わる場面は多岐にわたります。
ビタミンAが足りないときに出やすいサイン
不足したときの現れ方は人によって違い、複数が重なって出ることもあります。心当たりのあるものが複数あれば、食事にビタミンAを取り入れてみる、ひとつのきっかけになります。
暗い場所で見えにくい Night vision
明るい場所から暗い場所に移ったとき、目が慣れるまでに時間がかかる。
目の乾き Dry eyes
目が乾く、しょぼしょぼする、疲れやすい。
肌のカサつき・ざらつき Skin
肌が乾燥しやすい、触るとざらつく部分がある。
喉や鼻の粘膜の乾燥 Mucous
喉や鼻の粘膜が乾きやすい。
ビタミンAが不足しやすい背景
ビタミンAは、「食事から入る量が少ない」「吸収されにくい」「使われる量が多い」という、いくつかの方向から不足しやすい栄養素です。
食事から入る量が少ない Intake
レバーやうなぎ、卵、緑黄色野菜が食卓に少ないと、届きにくくなります。
油と一緒に摂れていない Fat
ビタミンAは脂溶性で、油と一緒に摂ることで吸収されやすくなります。油を控えた食事が続くと、取り込みにくくなります。
使われる量が多い Loss
目や皮膚、粘膜など、入れ替わりの早い場所で使われ続けます。成長期は、必要になる量も増えます。
運ぶたんぱく質が足りない Protein
ビタミンAは、肝臓でつくられる専用のたんぱく質にくるまれて運ばれます。たんぱく質が足りないと、肝臓にビタミンAがあっても、必要な場所へ届きにくくなります。
野菜だけに頼っている Carotene
緑黄色野菜のβ-カロテンは、ビタミンAとしての効力が6分の1〜12分の1程度とされます。野菜だけでは、量が足りなくなりやすくなります。
ここがポイント
ビタミンAは、食事で「摂る量」だけでなく、「油と一緒に摂れているか」「吸収できているか」まで含めて見ることが大切です。胃腸の状態も吸収に関わるため、胃腸の不調を整える方法もあわせてご参考にしてください。
ビタミンAには、2つのタイプがある
ビタミンAには、動物性食品に含まれる「レチノール」と、緑黄色野菜に含まれる「β-カロテン」という、2つのタイプがあります。
| 動物性(レチノール) | 植物性(β-カロテン) | |
|---|---|---|
| 含む食品 | レバー・うなぎ・卵など | にんじん・かぼちゃ・小松菜・ほうれん草などの緑黄色野菜 |
| 体への取り込み | そのままの形で吸収される | 体の中で、必要な分だけビタミンAに変換される |
| 摂り方のコツ | 少量でも効率よく摂れる | 油と一緒に、加熱して摂ると吸収されやすい |
β-カロテンは、体が必要とする分だけビタミンAに変換される仕組みがあります。ただし、ビタミンAとしての効力は6分の1〜12分の1程度とされ、抗酸化の働きで使われると分解されてしまいます。緑黄色野菜と、レバーや卵などの動物性食品を組み合わせて、両方からとるのがおすすめです。
体の中に入ったビタミンAは、働く場所に合わせて形を変えます。目の中では「レチナール」として光を感じる働きに、皮膚や粘膜、免疫、成長の場面では「レチノイン酸」として働きます。
食事で取り入れるコツ
ビタミンAは、レバーやうなぎなどの動物性食品と、色の濃い野菜(緑黄色野菜)の両方から取り入れられます。毎日の食事に少しずつ足していくイメージで、取り入れてみてください。
主な食品に含まれるビタミンAの量(レチノール活性当量)をまとめました。左の数値は可食部100gあたり、右はふだん食べる量に換算した目安です。野菜の数値は、含まれるβ-カロテンなど(α-カロテンなども含めて換算した量)を12分の1にして、ビタミンAとして働く量に置き換えた値です(数値は、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より)。
| 食品 | 100gあたり | 食べる量の目安 |
|---|---|---|
| 鶏レバー | 14,000µg | 30gで約4,200µg |
| 豚レバー | 13,000µg | 30gで約3,900µg |
| うなぎのかば焼き | 1,500µg | 1串(100g)で約1,500µg |
| 卵 | 210µg | M1個(50g)で約110µg |
| にんじん | 720µg | 1/2本(75g)で約540µg |
| ほうれん草 | 350µg | 1/3束(70g)で約250µg |
| 小松菜 | 260µg | 1/3束(70g)で約180µg |
| かぼちゃ(西洋) | 210µg | 100gで約210µg |
レバーやうなぎは、少しの量でもビタミンAがまとまってとれる食品です。毎日の食事では、卵や緑黄色野菜を組み合わせると、続けやすくなります。
| 食品群 | 食品の例 | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| レバー類 | 鶏・豚・牛のレバー | 焼き物、煮込み |
| 魚介類 | うなぎ | 蒲焼き |
| 卵 | 鶏卵 | 朝食、主菜のもう一品 |
| 緑黄色野菜 | にんじん・かぼちゃ・小松菜・ほうれん草 | 炒め物、スープ、煮物 |
| 油 | オリーブオイルなど | 野菜炒めやドレッシングに |
緑黄色野菜は、油を使った炒め物にする、ドレッシングをかけるなど、油と組み合わせると取り込みやすくなります。食事だけで十分な量を毎日続けるのは、意外と手間がかかります。食事を土台にしながら、届きにくい分はサプリメントで補うこともできます。選ぶときのポイントを「ビタミンAのサプリメントの選び方」にまとめました。
おさらい
食事のポイントは、レバー・うなぎ・卵・緑黄色野菜を、油と組み合わせながら少しずつ取り入れていくこと。届きにくい分は、サプリメントで補うこともできます。体質や胃腸の状態による個人差が大きいため、「これだけ食べれば大丈夫」という食品はありません。
ビタミンAのサプリメントの選び方
食事だけでは届きにくいとき、サプリメントは心強い選択肢です。ただしビタミンAは、「どれくらいの量を、ほかの栄養素とどう組み合わせて続けるか」によって、体への届き方が変わります。
量は、体の状態に合わせる
ビタミンAは脂溶性で、水に溶けるビタミンとは体の中での扱われ方が違います。多く摂れば摂るほどよい、というものではありません。必要な量は、食事内容や体の状態によって人それぞれです。
ビタミンAとあわせて意識したい栄養素
ビタミンAは、単独で働くのではなく、ほかの栄養素と関わり合いながら働きます。組み合わせを意識することで、より無理なく続けやすくなります。
| 栄養素 | ビタミンAとの関係 |
|---|---|
| たんぱく質 | ビタミンAを運ぶ専用のたんぱく質(RBP)の材料になる |
| 亜鉛 | ビタミンAを体の中で運ぶたんぱく質の合成に関わる |
| 脂質 | 吸収を助ける(食後や油と一緒に摂ると吸収されやすい) |
| ナイアシン | ビタミンAが、体の中で働く形(レチノイン酸)に変わるときに必要 |
| ビタミンD・E | 同じ脂溶性ビタミンとして、食事の中で一緒に摂られることが多い |
このように、ビタミンAは「どれくらいの量を、何と組み合わせるか」で、体への届き方が変わる栄養素です。そのため、自己判断で選ぶより、今の食事や体の状態を確認したうえで決めることをおすすめします。
サプリメントに迷ったら
健康相談NOZOMIでは、品質と安全性に配慮したサプリメントを取り扱っています。「ビタミンAが足りていないかも」と感じたときは、今の食事や体調をお聞かせください。その方に合った種類や量、組み合わせまで、ご提案します。
よくある質問
ビタミンAが多い食品は何ですか?
レバー、うなぎ、卵などの動物性食品や、にんじん、かぼちゃ、小松菜、ほうれん草などの緑黄色野菜です。毎日の食事で、少しずつ組み合わせて取り入れてみてください。
ビタミンAは、油と一緒に摂るといいですか?
ビタミンAは脂溶性のため、油と一緒に摂ると吸収されやすくなります。緑黄色野菜は、油を使った炒め物にする、ドレッシングをかけるなどの工夫で、取り込みやすくなります。どんな油を選ぶとよいかは、脂質(油)の話でまとめています。
緑黄色野菜だけで足りますか?
にんじんやかぼちゃなどに含まれるβ-カロテンは、体の中で必要な分だけビタミンAに変換されます。ビタミンAとしての効力は、動物性食品のレチノールの6分の1〜12分の1程度とされています。緑黄色野菜と、レバーや卵などを組み合わせることをおすすめします。
ビタミンAは、食事だけで足りますか?
レバーやうなぎ、卵、緑黄色野菜を意識すると、摂取量を増やすことはできます。ただ、十分な量を毎日続けるには手間がかかり、届きにくいと感じる方も少なくありません。食事を土台にしながら、足りない分をサプリメントで補うこともできます。必要な量は人によって違うため、状態を確認したうえで選ぶことをおすすめします。
まとめ|目と粘膜のサインから、ビタミンAを見直す
この記事のポイント
- ビタミンAは、目の働きや、皮膚・粘膜、免疫を支える脂溶性のビタミンです。
- 暗い場所での見えにくさ、目や肌の乾燥、風邪のひきやすさなどのサインが重なるときは、食事の内容を見直すきっかけになります。
- 動物性食品(レチノール)と緑黄色野菜(β-カロテン)を組み合わせ、油と一緒に取り入れることが大切です。
- 食事を土台に、届きにくい分はサプリメントで補うこともできます。量や組み合わせは、体の状態に合わせて選びます。
見えにくさや肌の乾燥を「よくあること」で片づけず、まずは食卓を見直すところから始めてみてください。
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