「しっかり食べているのに疲れが抜けない」「口内炎が繰り返しできる」「肌荒れが続く」——そんな方へ。ビタミンB群は、食べたものをエネルギーに変え、神経の働きや血液づくりを支えている、水溶性のビタミンです。この記事では、ビタミンB群の役割、8種類それぞれの働き、足りないときに出やすいサイン、不足しやすい背景、食品ごとの量、食事とサプリメントの考え方を、分子栄養学の視点でまとめました。栄養素シリーズの第6回です(第1回は「隠れ鉄不足」とフェリチンの話、第2回はマグネシウムの話、第3回は亜鉛の話、第4回はカルシウムの話、第5回はビタミンAの話)。
ビタミンB群とは
ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類の総称です。水に溶ける性質(水溶性)で、体の中で「補酵素」として、いろいろな反応を助ける働きをしています。体の中でつくることはできず、体に溜めておくこともできないため、食事やサプリメントから継続して取り入れます。
「しっかり食べているのに疲れる」その理由
「食事量は足りているはずなのに、疲れが抜けない」「口内炎が繰り返しできる」。こうした変化が続くと、「体質かな」「年齢のせいかな」と、そのままにしてしまいがちです。
ビタミンB群の難しいところは、「食べた量」と「体で使える量」が、必ずしも一致しない点です。食べたものをエネルギーに変える過程では、ビタミンB群という「潤滑油」が欠かせません。潤滑油が足りないと、材料(糖質・脂質・たんぱく質)をいくら摂っても、うまく力に変わりにくくなります。
こんなことはありませんか
- しっかり食べているのに、疲れが抜けない
- 口内炎や口角炎が、繰り返しできる
- 肌荒れが続く
- 顔色が薄い、立ちくらみがある
- やる気が出ない、集中しにくい
- 主食に偏り、肉・魚・卵・青菜が少ない
ビタミンB群は、体の中で何をしているのか
ビタミンB群は、8種類それぞれに個性がありますが、大きく3つの働きに分けて考えると理解しやすくなります。
エネルギーをつくる
ビタミンB1は糖質を、ビタミンB2は脂質を、それぞれエネルギーに変える過程を助けます(糖質と脂質の働きは、糖質と血糖値の波の話、脂質(油)の話でまとめています)。ナイアシンやパントテン酸も、体の中でエネルギーをつくる反応に関わります。マグネシウムとともに、エネルギー代謝を支える栄養素です。
とくに脳は、体重の約2%しかないのに、全身のエネルギーの約20%を使うといわれます。ナイアシンは体の中で「NAD」という補酵素に変わり、このエネルギーづくりを支えています。
神経の働きを支える
ビタミンB6は、たんぱく質からアミノ酸をつくる過程や、神経伝達物質をつくる過程に関わります。ビタミンB12は、神経の働きを保つことにも関わっています。とくにビタミンB6は、穏やかな気分に関わるセロトニン、やる気や集中に関わるドーパミン・ノルアドレナリン、興奮を抑えるブレーキ役のGABAをつくるときに欠かせません。気持ちの状態との関係は、こころの不調と栄養の関係もご覧ください。
皮膚・粘膜・血液をつくる
ビタミンB2やビオチンは、皮膚や粘膜の状態を保つ働きに関わります。ビタミンB12と葉酸は、赤血球をつくる過程で協力して働きます。鉄とあわせて、血液づくりを支える栄養素です。
8種類のビタミンBと、それぞれの働き
ビタミンB群の8種類には、それぞれ得意な働きがあります。足りないときに出やすいサインとあわせて整理しました。
| 種類 | 主な働き | 足りないときに出やすいサイン |
|---|---|---|
| ビタミンB1 | 糖質をエネルギーに変える、神経の働き | 疲れやすい、もの忘れ |
| ビタミンB2 | 脂質をエネルギーに変える、皮膚・粘膜を保つ | 目の疲れ、口内炎 |
| ナイアシン | エネルギーをつくる | 気分の落ち込み、皮膚の荒れ |
| パントテン酸 | 糖質・脂質・たんぱく質の代謝 | めまい、頭痛 |
| ビタミンB6 | 神経伝達物質をつくる、血液づくり | 皮膚の荒れ、貧血っぽさ |
| ビタミンB12・葉酸 | 神経を守る、赤血球をつくる | 手足のしびれ、貧血っぽさ |
| ビオチン | 皮膚・髪の健康 | 抜け毛、白髪 |
8種類は、それぞれが助け合いながら働いています。どれか1つが欠けても、エネルギーづくりが滞ることがあるため、まとめてとる考え方が基本になります。
ビタミンB群が足りないときに出やすいサイン
不足したときの現れ方は人によって違い、複数が重なって出ることもあります。心当たりのあるものが複数あれば、食事にビタミンB群を取り入れてみる、ひとつのきっかけになります。
口内炎・口角炎 Mouth
口の中や口の端が、繰り返し荒れやすい。
手足のピリピリ感 Nerve
手足がピリピリする、感覚がにぶく感じることがある。
ビタミンB群が不足しやすい背景
ビタミンB群は、「食事から入る量が少ない」「体に溜まりにくい」「使われる量が多い」という、いくつかの方向から不足しやすい栄養素です。
食事量が少ない・偏る Intake
主食に偏り、肉・魚・卵・青菜が少ないと、ビタミンB群全体が届きにくくなります。
ストレスで消耗されやすい Stress
ストレスが続くと、ビタミンB群の消耗が進みやすいといわれます。忙しさや緊張が続く時期は、必要になる量も増えます。
体に溜まりにくい Water-soluble
水に溶ける性質のため、余った分は尿と一緒に出ていきやすく、こまめに補う必要があります。
精製された食品・糖質が多い Refined
白米や甘いもの、加工された食品が多いと、ビタミンB群が少ないうえ、糖質の代謝に多く使われて消費が増えます。
腸内環境の乱れ Gut flora
抗生物質を長く使うなどして腸内細菌のバランスが崩れると、ビタミンB群が不足しやすくなります。
ここがポイント
ビタミンB群は、食事で「摂る量」だけでなく、「体に溜まりにくく、こまめに必要」という性質まで含めて見ることが大切です。1回にまとめて摂るより、日々の食事で継続して取り入れる考え方が向いています。
食事で取り入れるコツ
ビタミンB群は、種類によって多く含まれる食品が違います。いろいろな食品を組み合わせることで、まとめて取り入れやすくなります。毎日の食事に少しずつ足していくイメージで、取り入れてみてください。
種類ごとに、多く含む食品と量の目安をまとめました。100gあたりの数値と、ふだん食べる量に換算した目安です(数値は、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より)。
| 種類 | 食品 | 100gあたり | 食べる量の目安 |
|---|---|---|---|
| ビタミンB1 | 豚ヒレ肉 | 1.32mg | 100gで約1.3mg |
| ビタミンB2 | 豚レバー | 3.60mg | 50gで約1.8mg |
| ナイアシン | かつお(春獲り) | 19.0mg | 60gで約11mg |
| ビタミンB6 | まぐろ(赤身) | 0.85mg | 60gで約0.5mg |
| ビタミンB12 | しじみ | 68.0µg | 15gで約10µg |
| 葉酸 | 鶏レバー | 1,300µg | 30gで約390µg |
| 葉酸 | ほうれん草 | 210µg | 1/3束(70g)で約150µg |
| パントテン酸 | 鶏レバー | 10.00mg | 30gで約3.0mg |
| ビオチン | 卵 | 24.0µg | M1個(50g)で約12µg |
| 食品 | 多く含むビタミンB |
|---|---|
| レバー(鶏・豚・牛) | B2・B6・B12・葉酸・パントテン酸・ビオチン |
| 豚肉(豚ヒレ・豚もも) | B1 |
| しじみ・あさり | B12 |
| 卵(鶏卵) | ビオチン |
| 青魚(かつお・まぐろ) | B6・ナイアシン |
| 青菜(ほうれん草・小松菜) | 葉酸 |
1つの食品にすべての種類がそろっているわけではないため、主菜・副菜を組み合わせることが大切です。食事だけで十分な量を毎日続けるのは、意外と手間がかかります。食事を土台にしながら、届きにくい分はサプリメントで補うこともできます。選ぶときのポイントを「ビタミンB群のサプリメントの選び方」にまとめました。
おさらい
食事のポイントは、豚肉・レバーや卵・しじみやあさり・青魚・青菜を、組み合わせながら少しずつ取り入れていくこと。届きにくい分は、サプリメントで補うこともできます。体質や食事量による個人差が大きいため、「これだけ食べれば大丈夫」という食品はありません。
ビタミンB群のサプリメントの選び方
食事だけでは届きにくいとき、サプリメントは心強い選択肢です。ただしビタミンB群は、「どれくらいの量を、どう続けるか」「ほかの栄養素とどう組み合わせるか」によって、体への届き方が変わります。
量と続け方は、体の状態に合わせる
ビタミンB群は水に溶ける性質のため、多く摂っても、余った分は尿と一緒に出ていきやすいといわれます。一度に多く摂るより、食後に分けて、こまめに取り入れる方法があります。必要な量は、食事内容や体の状態によって人それぞれです。
ビタミンB群とあわせて意識したい栄養素
ビタミンB群は、単独で働くのではなく、ほかの栄養素と関わり合いながら働きます。組み合わせを意識することで、より無理なく続けやすくなります。
| 栄養素 | ビタミンB群との関係 |
|---|---|
| 鉄 | 葉酸・B12とともに、赤血球をつくる過程に関わる |
| マグネシウム | エネルギーをつくる酵素の働きに、ともに関わる |
| 亜鉛 | 細胞の代謝やたんぱく質の合成に、ともに関わる |
このように、ビタミンB群は「どれくらいの量を、何と組み合わせるか」で、体への届き方が変わる栄養素です。そのため、自己判断で選ぶより、今の食事や体の状態を確認したうえで決めることをおすすめします。
サプリメントに迷ったら
健康相談NOZOMIでは、品質と安全性に配慮したサプリメントを取り扱っています。「ビタミンB群が足りていないかも」と感じたときは、今の食事や体調をお聞かせください。その方に合った種類や量、組み合わせまで、ご提案します。
よくある質問
ビタミンB群が多い食品は何ですか?
豚肉、レバー、卵、しじみやあさり、青魚(かつお・まぐろなど)、青菜など、食品によって含まれる種類が少しずつ違います。いろいろな食品を組み合わせることで、まとめて取り入れやすくなります。
ビタミンB群は、まとめて摂ったほうがいいですか?
ビタミンB群は、それぞれが助け合いながら働く栄養素です。特定の1種類だけを多く摂るより、食事でもサプリメントでも、いろいろな種類をまとめて摂る考え方が基本になります。
お酒をよく飲みますが、意識したほうがいいですか?
お酒をよく飲む習慣がある方は、ビタミンB1が多く使われるといわれます。おつまみに偏らず、豚肉やレバー、しじみなど、ビタミンB群を含む食品もあわせて摂ることをおすすめします。
ビタミンB群は、食事だけで足りますか?
豚肉、レバー、卵、しじみやあさり、青魚、青菜を意識すると、摂取量を増やすことはできます。ただ、水に溶けやすく体に溜まりにくいため、毎日の食事で継続して届けるには手間がかかります。食事を土台にしながら、足りない分をサプリメントで補うこともできます。必要な量は人によって違うため、状態を確認したうえで選ぶことをおすすめします。
まとめ|食事を力に変える働きから、ビタミンB群を見直す
この記事のポイント
- ビタミンB群は、食べたものをエネルギーに変え、神経の働きや血液づくりを支える、水溶性のビタミンです。
- 疲れやすさ、口内炎、肌荒れ、集中しにくさなどのサインが重なるときは、食事の内容を見直すきっかけになります。
- 体に溜まりにくいため、日々の食事で継続して取り入れることが大切です。
- 食事を土台に、届きにくい分はサプリメントで補うこともできます。量や組み合わせは、体の状態に合わせて選びます。
食べているのに疲れが抜けない感じを「よくあること」で片づけず、まずは食卓を見直すところから始めてみてください。
参考にした情報



