「手足が冷えやすい」「肩こりや頭痛が続く」「肌のくすみが気になる」——そんな方へ。ビタミンEは、細胞を包む膜の中で、体を酸化から守っている脂溶性のビタミンです。血の巡りやホルモンの働きにも関わり、「若返りのビタミン」と呼ばれることもあります。この記事では、ビタミンEの役割、足りないときに出やすいサイン、不足しやすい背景、食事での取り入れ方、ビタミンCとの関係、サプリメントの選び方を、分子栄養学の視点でまとめました。栄養素シリーズの第9回です(第1回は「隠れ鉄不足」とフェリチンの話、第2回はマグネシウムの話、第3回は亜鉛の話、第4回はカルシウムの話、第5回はビタミンAの話、第6回はビタミンB群の話、第7回はビタミンCの話、第8回はビタミンDの話)。
ビタミンEとは
脂に溶ける性質を持つ脂溶性のビタミンで、別名を「トコフェロール」といいます。細胞を包む膜の中に入り込み、膜をつくる脂質が酸化するのを食い止める、抗酸化の働きを担っています。ナッツ類やアボカド、うなぎ、かぼちゃなどに多く含まれます。
冷えや肩こりを、「体質だから」で片づけていませんか
「昔から冷え性だから」「肩こりは仕事柄しかたない」「肌のくすみは年齢のせい」。毎日のように感じている不調ほど、いつの間にか「自分はこういうもの」と受け入れてしまいがちです。
けれど、こうした変化の背景には、体の中で酸化を食い止める力や血の巡りが関わっていることがあります。その両方に関わっているのが、ビタミンEです。体質だとあきらめる前に、毎日の食事から届いているかを見直してみる価値があります。
こんなことはありませんか
- 手足が冷えやすく、温まるまでに時間がかかる
- 肩こりや頭痛が、なかなか抜けない
- 肌のくすみやシミが気になってきた
- 生理の前後や、更年期の時期の体調のゆらぎが大きい
- 揚げ物や、袋菓子・加工食品をよく食べる
- ナッツ類や魚、色の濃い野菜を食べる機会が少ない
ビタミンEは、体の中で何をしているのか
ビタミンEの働きは、「細胞を酸化から守る」ことを中心に、体のあちこちに広がっています。代表的な働きを3つ挙げます。
細胞の膜を、酸化から守る
私たちの体は、約37兆個ともいわれる細胞でできていて、その一つひとつが脂質を材料にした膜に包まれています。この膜の脂質は、酸化の影響を受けやすい性質を持っています。一度酸化が起こると、となりの脂質へ、さらにそのとなりへと、反応が連鎖していくことがあります。
脂に溶けるビタミンEは、膜の中に入り込み、この酸化の連鎖を食い止める役割を担っています。細胞が本来の働きを保つための、いわば「膜の守り役」です。
血の巡りを支える
ビタミンEには、血の巡りを支える働きがあるとされています。分子栄養学では、冷えや肩こり、頭痛など、巡りの悪さと関わりのある不調を見るときに、ビタミンEの状態にも目を向けます。
ホルモンや自律神経の働きを支える
ビタミンEは、ホルモンのバランスや自律神経の働きにも関わると考えられています。生理の前後や更年期の時期など、ホルモンの変化が大きいタイミングで見直したい栄養素のひとつです。
ちなみに、別名の「トコフェロール」は、ギリシャ語の「子を産む」と「もたらす」を組み合わせた言葉です。ビタミンEが、もともと妊娠に関わる研究の中で見つかったことに由来しています。妊活と栄養の関係については、妊活で見落とされがちな「栄養の土台」でもまとめています。
ビタミンEが足りないときに出やすいサイン
不足したときの現れ方は人によって違い、ここに挙げたサインがあるからといって、ビタミンE不足と決まるわけではありません。心当たりのあるものが複数重なるときは、食事を見直してみる、ひとつのきっかけになります。
手足の冷え Coldness
手足が冷えやすく、温まるまでに時間がかかる。
肩こり・頭痛 Stiffness
肩や首のこり、頭の重さが、なかなか抜けない。
生理まわりのゆらぎ Cycle
生理の前後に、体調や気分の波が大きくなる。
ビタミンEが不足しやすい背景
ビタミンEは、「食事から入る量が少ない」ことに加えて、「酸化を食い止めるたびに使われる」という性質から、生活によって足りなくなりやすい栄養素です。
脂質を控えすぎている Low fat
脂溶性のため、油を極端に控えた食事では、取り込まれにくくなります。
酸化した油が多い Oxidized oil
揚げ物や、時間のたった油を使った加工食品が多いと、体の中で酸化を食い止める仕事が増えます。
酸化の負担が大きい生活 Stress
ストレスや強い紫外線など、酸化の負担が大きいと、ビタミンEが使われる量も増えていきます。
食事から入る量が少ない Intake
ナッツ類や魚、色の濃い野菜を食べる機会が少ないと、届きにくくなります。
ここがポイント
ビタミンEは、「どれだけ入ってくるか」と「どれだけ使われているか」の両方で見ることが大切です。同じ食事をしていても、酸化の負担が大きい生活をしている方ほど、ビタミンEは減っていきやすくなります。
食事で取り入れるコツ
ビタミンEは、ナッツ類や一部の野菜・魚に多く含まれています。特別な食材を探すより、いつもの食事のどこに置けるかで考えると、続けやすくなります。
| 食材 | 取り入れやすい場面 |
|---|---|
| アーモンド | 間食に、素焼きのものをひとつかみ |
| アボカド | サラダや、主菜の付け合わせに |
| うなぎ | 白焼きや蒲焼きで、主菜に |
| かぼちゃ | 煮物や焼き野菜で、副菜に |
| 赤パプリカ | 炒め物やサラダに。ビタミンCも一緒にとれる |
| モロヘイヤ | おひたしや、スープの具に |
脂溶性のため、脂質やたんぱく質を含む食事と一緒にとると、吸収されやすくなります。たとえば、アボカドを魚や卵の料理に添える、かぼちゃを油で焼くといった組み合わせです。一方で、揚げ物のように加熱をくり返した油は酸化が進みやすいため、ビタミンEを取り入れたい日ほど、調理法にも目を向けてみてください。
ただ、食事だけで十分な量を毎日続けるのは、意外と手間がかかります。食事を土台にしながら、足りない分をサプリメントで補うこともできます。選ぶときのポイントを「ビタミンEのサプリメントの選び方」にまとめました。
ビタミンCと組み合わせる理由
ビタミンEは、酸化を食い止めると、自分自身が酸化された状態になり、そのままでは次の働きができなくなります。ここで力を発揮するのがビタミンCです。
ビタミンCには、働きを終えたビタミンEを、再び使える形に戻す働きがあります。脂に溶けるビタミンEが細胞の膜の中を、水に溶けるビタミンCが細胞の外側を受け持ちながら、連携して体を酸化から守っているのです。
おさらい
ビタミンEは、ビタミンCとセットで考えるのがポイントです。赤パプリカのように両方を含む食材や、アボカドとブロッコリーのサラダのような組み合わせで、食事の中から両方を取り入れることができます。
ビタミンEのサプリメントの選び方
食事だけでは届きにくいとき、サプリメントは心強い選択肢です。ただしビタミンEは、「どの形のものを選ぶか」「どれくらいの量を、何と組み合わせるか」によって、体への届き方が変わります。
「天然型」と「合成型」の違い
ビタミンEのサプリメントには、植物などから得られる「天然型(d-α-トコフェロール)」と、化学的に合成された「合成型(dl-α-トコフェロール)」があります。名前の頭が「d」か「dl」かの違いですが、天然型のほうが体の中で働きやすいとされ、分子栄養学では天然型を選ぶ考え方が一般的です。成分表示を見るときの、ひとつの目安になります。
量と続け方は、体の状態に合わせる
脂溶性のため、脂質やたんぱく質を含む食事と一緒に取り入れると、体になじみやすいといわれます。必要な量は、食事内容や生活の中での酸化の負担、体の状態によって人それぞれです。
ビタミンEとあわせて意識したい栄養素
ビタミンEは、単独で働くのではなく、ほかの栄養素と関わり合いながら働きます。組み合わせを意識することで、より無理なく続けやすくなります。
| 栄養素 | ビタミンEとの関係 |
|---|---|
| ビタミンC | 働きを終えたビタミンEを、再び使える形に戻す |
| EPA・DHA | 酸化しやすい脂質のため、ビタミンEが酸化から守る役割を担う |
| ビタミンA | 同じ脂溶性のビタミンで、ビタミンEが酸化から守る |
このように、ビタミンEは「どの形を、どれくらいの量で、何と組み合わせるか」で、体への届き方が変わる栄養素です。そのため、自己判断で選ぶより、今の食事や生活スタイル、体の状態を確認したうえで決めることをおすすめします。
サプリメントに迷ったら
健康相談NOZOMIでは、品質と安全性に配慮したサプリメントを取り扱っています。「ビタミンEが足りていないかも」と感じたときは、今の食事や体調をお聞かせください。その方に合った種類や量、組み合わせまで、ご提案します。
よくある質問
ビタミンEが多い食品は何ですか?
アーモンドなどのナッツ類、アボカド、うなぎ、かぼちゃ、赤パプリカ、モロヘイヤなどです。ナッツ類は間食に、アボカドやかぼちゃは副菜に、うなぎは主菜にと、場面に合わせて取り入れやすい食材です。
ビタミンEは、食事だけで足りますか?
ナッツ類や野菜、魚を意識すると、摂取量を増やすことはできます。ただ、ビタミンEは酸化を食い止めるたびに使われるため、毎日の食事で継続して届けるには手間がかかります。食事を土台にしながら、足りない分をサプリメントで補うこともできます。必要な量は人によって違うため、状態を確認したうえで選ぶことをおすすめします。
サプリメントは、いつ飲むのがいいですか?
ビタミンEは脂に溶けるビタミンのため、空腹時よりも、脂質やたんぱく質を含む食事と一緒に取り入れると、体になじみやすいといわれます。
ビタミンCと一緒にとったほうがいいですか?
ビタミンCには、酸化を食い止めて働きを終えたビタミンEを、再び使える形に戻す働きがあります。そのため、ビタミンEはビタミンCとあわせて意識したい栄養素です。
まとめ|酸化の負担と食事の両方から、ビタミンEを見直す
この記事のポイント
- ビタミンEは、細胞を包む膜の中で、体を酸化から守っている脂溶性のビタミンです。
- 血の巡りや、ホルモン・自律神経の働きにも関わっています。
- 冷え、肩こり・頭痛、肌のくすみ、生理や更年期の時期のゆらぎなどが重なるときは、食事を見直すきっかけになります。
- 酸化を食い止めるたびに使われるため、酸化の負担が大きい生活では足りなくなりやすく、ビタミンCとの組み合わせが大切です。
- 食事を土台に、足りない分はサプリメントで補うこともできます。形や量、組み合わせは、体の状態に合わせて選びます。
冷えや肩こり、肌の変化を「体質だから」と片づけず、まずは毎日の食事と、油のとり方を見直すところから始めてみてください。



