「カルシウムを意識しているのに、骨が気になる」「ぶつけた覚えがないのに、あざができている」——そんな方へ。ビタミンKは、出血したときに血を固め、カルシウムを骨へ届ける働きを持つ、脂溶性のビタミンです。カルシウムが骨に収まるか、それ以外の場所にたまってしまうか。その行き先を左右している栄養素ともいえます。この記事では、ビタミンKの役割、K1とK2の違い、足りないときに出やすいサイン、不足しやすい背景、食事での取り入れ方、サプリメントの選び方を、分子栄養学の視点でまとめました。栄養素シリーズの第10回です(第1回は「隠れ鉄不足」とフェリチンの話、第2回はマグネシウムの話、第3回は亜鉛の話、第4回はカルシウムの話、第5回はビタミンAの話、第6回はビタミンB群の話、第7回はビタミンCの話、第8回はビタミンDの話、第9回はビタミンEの話)。
ビタミンKとは
脂に溶ける性質を持つ脂溶性のビタミンです。出血したときに血を固める働きと、カルシウムを骨に取り込む働きを担っています。青菜などに多い「K1」と、納豆などに多い「K2」があり、K2は腸内細菌によってもつくられます。
カルシウムをとっているのに、骨が気になる理由
骨のためにと、小魚や青菜を意識している方は多いと思います。それでも「骨が気になる」「年齢とともに不安になってきた」と感じるとき、見直したいのがカルシウムを骨に収める側の栄養素です。
カルシウムは、とるだけでは骨になりません。腸から吸収するのを助けるビタミンD、そして吸収したカルシウムを骨に取り込む働きを支えるビタミンK。この組み合わせがそろって、はじめてカルシウムは骨の材料として生かされます。
こんなことはありませんか
- ぶつけた覚えがないのに、あざができている
- 歯ぐきや鼻からの出血が、なかなか止まらない
- カルシウムを意識しているのに、骨が気になる
- 青菜や緑の野菜を食べる機会が少ない
- お腹の調子が不安定な状態が続いている
- 抗生物質を飲む機会が多かった
ビタミンKは、体の中で何をしているのか
ビタミンKの働きは、大きく分けて3つあります。どれも、体の中で「固める・収める」ことに関わっています。
出血したときに、血を固める
けがをして出血したとき、血は自然に固まって止まります。この血を固める仕組みには、いくつものたんぱく質が関わっていて、その一部はビタミンKがなければ働けません。ビタミンKの「K」は、ドイツ語で「凝固」を意味する言葉の頭文字に由来しています。
カルシウムを骨に取り込む
骨には、カルシウムを骨に結びつける役割を持つたんぱく質があります。ビタミンKは、このたんぱく質が働ける形にする役割を担っています。カルシウムが十分にあっても、ビタミンKが足りないと、骨に取り込まれにくくなります。カルシウムの記事とあわせて読むと、骨づくりの全体像が見えてきます。
カルシウムを、骨以外の場所にためにくくする
ビタミンKには、カルシウムが血管の壁など、骨以外の場所にたまりにくくする働きもあると考えられています。カルシウムを骨へ届け、それ以外の場所にはためにくくする。ビタミンKが「カルシウムの行き先を決める栄養素」といわれるのは、このためです。
K1とK2の違い
食べ物に含まれるビタミンKには、主に「K1」と「K2」の2つのタイプがあります。どちらもビタミンKとして働きますが、多く含まれる食品や特徴が異なります。
| 種類 | 多く含む食品 | 特徴 |
|---|---|---|
| K1 | 小松菜・ほうれん草・モロヘイヤ・ブロッコリーなど、緑の野菜 | 植物の葉の緑の部分に多い。油と一緒にとると吸収されやすい |
| K2 | 納豆、鶏もも肉、卵黄など | 納豆菌や腸内細菌がつくる。納豆に多いタイプは、体の中に長くとどまりやすい |
K2は腸内細菌によってもつくられるため、腸内環境とも深く関わるビタミンです。腸の状態については、胃腸の不調を整える方法でまとめています。
ビタミンKが足りないときに出やすいサイン
不足したときの現れ方は人によって違い、ここに挙げたサインがあるからといって、ビタミンK不足と決まるわけではありません。心当たりのあるものが複数重なるときは、食事を見直してみる、ひとつのきっかけになります。
あざができやすい Bruises
ぶつけた覚えがないのに、あざができていることがある。
出血が止まりにくい Bleeding
歯ぐきや鼻からの出血、小さな傷の出血が、なかなか止まらない。
ビタミンKが不足しやすい背景
ビタミンKは、食事から入る分に加えて、腸内細菌がつくる分もあります。そのため、「食事」と「腸」の両方の面から、足りなくなりやすい背景があります。
青菜を食べる機会が少ない Greens
緑の野菜が少ない食事では、K1が届きにくくなります。
脂質を控えすぎている Low fat
脂溶性のため、油を極端に控えた食事では、取り込まれにくくなります。
腸内環境の乱れ Gut flora
腸内細菌のバランスが乱れると、腸でつくられるK2が減ることがあります。
抗生物質を長く使ったあと Antibiotics
抗生物質は腸内細菌にも影響するため、腸でつくられる分が少なくなりやすくなります。
ここがポイント
ビタミンKは、「食事から入る分」と「腸でつくられる分」の両方で見ることが大切です。お腹の調子が不安定な方や、抗生物質を使う機会が多かった方は、食事だけでなく腸の状態にも目を向けてみてください。
食事で取り入れるコツ
ビタミンKは、緑の野菜と納豆に多く含まれています。K1とK2の両方を、いつもの食事のどこに置けるかで考えると、続けやすくなります。
| 食材 | 取り入れやすい場面 |
|---|---|
| 小松菜・ほうれん草 | 油を使った炒め物や、ごまあえに |
| モロヘイヤ | スープの具や、ごま油を使ったあえ物に |
| ブロッコリー | 蒸して、主菜の付け合わせに |
| 納豆 | 朝食や、主菜のもう一品に |
| 鶏もも肉 | 焼き物や煮物で、主菜に |
| 卵黄 | 卵焼きやゆで卵で、朝食に |
青菜のK1は、油と一緒にとると吸収されやすくなります。おひたしよりも炒め物、そのままよりもごまあえ、というように、脂質を少し組み合わせるのがコツです。たとえば、小松菜と鶏もも肉の炒め物なら、K1とK2を一皿で取り入れられます。
ただ、食事だけで十分な量を毎日続けるのは、意外と手間がかかります。食事を土台にしながら、足りない分をサプリメントで補うこともできます。選ぶときのポイントを「ビタミンKのサプリメントの選び方」にまとめました。
ビタミンKのサプリメントの選び方
食事だけでは届きにくいとき、サプリメントは心強い選択肢です。ただしビタミンKは、「どれくらいの量を、何と組み合わせるか」によって、体への届き方が変わります。
量と続け方は、体の状態に合わせる
脂溶性のため、脂質を含む食事と一緒に取り入れると、体になじみやすいといわれます。必要な量は、食事内容や腸の状態、体の状態によって人それぞれです。
なお、ビタミンKには血を固める働きがあるため、血液をサラサラにするお薬の種類によっては、ビタミンKの量でお薬の効き方が変わることがあります。服用中の方は、ビタミンKの摂り方について、処方元の医療機関にもお伝えいただくと安心です。
ビタミンKとあわせて意識したい栄養素
ビタミンKは、単独で働くのではなく、ほかの栄養素と関わり合いながら働きます。とくに骨づくりは、いくつもの栄養素の連携で成り立っています。
| 栄養素 | ビタミンKとの関係 |
|---|---|
| ビタミンD | 腸からのカルシウムの吸収を助け、ビタミンKが骨に取り込む流れにつなぐ |
| カルシウム | 骨の材料。ビタミンKが、骨へ収める働きを支える |
| マグネシウム | カルシウムとともに骨の材料になり、骨づくりを支える |
このように、ビタミンKは「どれくらいの量を、何と組み合わせるか」で、体への届き方が変わる栄養素です。そのため、自己判断で選ぶより、今の食事や生活スタイル、体の状態を確認したうえで決めることをおすすめします。
サプリメントに迷ったら
健康相談NOZOMIでは、品質と安全性に配慮したサプリメントを取り扱っています。「ビタミンKが足りていないかも」と感じたときは、今の食事や体調をお聞かせください。その方に合った種類や量、組み合わせまで、ご提案します。
よくある質問
ビタミンKが多い食品は何ですか?
小松菜やほうれん草、モロヘイヤ、ブロッコリーなどの青菜・緑の野菜にはビタミンK1が、納豆にはビタミンK2が多く含まれています。鶏もも肉や卵黄にも、K2が含まれています。
ビタミンKは、食事だけで足りますか?
青菜や納豆を意識すると、摂取量を増やすことはできます。ただ、骨にカルシウムを取り込む働きまで考えると、毎日の食事で継続して届けるには手間がかかります。食事を土台にしながら、足りない分をサプリメントで補うこともできます。必要な量は人によって違うため、状態を確認したうえで選ぶことをおすすめします。
サプリメントは、いつ飲むのがいいですか?
ビタミンKは脂に溶けるビタミンのため、空腹時よりも、脂質を含む食事と一緒に取り入れると、体になじみやすいといわれます。
血液をサラサラにする薬を飲んでいても、ビタミンKをとっていいですか?
ビタミンKには血を固める働きがあるため、血液をサラサラにするお薬の種類によっては、食事やサプリメントからのビタミンKの量で、お薬の効き方が変わることがあります。服用中の方は、ビタミンKの摂り方について、処方元の医療機関にもお伝えいただくと安心です。
まとめ|カルシウムの行き先から、ビタミンKを見直す
この記事のポイント
- ビタミンKは、出血したときに血を固め、カルシウムを骨へ届ける働きを持つ、脂溶性のビタミンです。
- カルシウムを骨に収め、それ以外の場所にはためにくくする、「カルシウムの行き先を決める」役割があります。
- 青菜に多いK1と、納豆などに多いK2があり、K2は腸内細菌によってもつくられます。
- あざができやすい、出血が止まりにくい、骨が気になるなどのサインが重なるときは、食事と腸の状態を見直すきっかけになります。
- 食事を土台に、足りない分はサプリメントで補うこともできます。量や組み合わせは、体の状態に合わせて選びます。
カルシウムを「とる」ことだけでなく、「骨に収める」ことにも目を向けて、まずは毎日の青菜と、腸の調子を見直すところから始めてみてください。



