たんぱく質の文字
栄養素シリーズ ⑪ たんぱく質 | Column

体と心の材料になる
たんぱく質の話

健康相談NOZOMI 代表 山本淳

健康相談NOZOMI 代表 山本 淳

分子栄養学カウンセラー/バイタルファスティングマイスター

NPO法人オーソモレキュラー分子栄養医学協会の認定講師。自身も原因のわからない不調に悩んだ経験を持ち、お子さまから大人まで、健康や栄養に関わる相談に寄り添っています。

たんぱく質というと、筋肉をつくる栄養素というイメージが強いかもしれません。実際には、肌や髪、内臓、骨の材料になるだけでなく、食べ物を消化する酵素や体の調子を整えるホルモン、体を守る抗体、気分や眠りに関わる物質の材料にもなっています。たんぱく質は、体のさまざまな働きを、材料の面から支えている栄養素です。その分、足りなくなると、疲れやすさや肌・髪の変化、風邪のひきやすさなど、体のいろいろなところにサインが出てきます。食事の量は足りていても、中身を見てみるとたんぱく質が少なかった、ということは珍しくありません。この記事では、たんぱく質をつくるアミノ酸の種類、体の中での働き、足りないときに出やすいサイン、不足しやすい背景、体重から考える1日の目安、食事での取り入れ方、サプリメントの選び方を、分子栄養学の視点でまとめました。栄養素シリーズの第11回です(第1回は「隠れ鉄不足」とフェリチンの話、第2回はマグネシウムの話、第3回は亜鉛の話、第4回はカルシウムの話、第5回はビタミンAの話、第6回はビタミンB群の話、第7回はビタミンCの話、第8回はビタミンDの話、第9回はビタミンEの話、第10回はビタミンKの話)。

たんぱく質とは

肉・魚・卵・大豆製品などに多く含まれる栄養素です。約20種類のアミノ酸がたくさんつながってできていて、体の中でいったんアミノ酸に分解され、筋肉や肌、髪、内臓、酵素、ホルモンなどの材料として組み立て直されます。アミノ酸のうち9種類は体の中でつくれない「必須アミノ酸」で、食事からとる必要があります。

しっかり食べているのに、疲れやすい理由

朝はパンだけ、昼は麺類だけ、夜はごはんにおかずを少し。量としては食べていても、中身を並べてみると、主食が中心で、たんぱく質のおかずが少ない食事になっていることがあります。

体は毎日、食事からとったたんぱく質を材料にして、筋肉や肌、血液などをつくり直しています。入ってくる量が足りない日が続くと、その材料が不足しがちになります。

こんなことはありませんか

  • 朝食がパンやおにぎりだけで終わることが多い
  • 肉・魚・卵・大豆製品のおかずが、1日1回くらいしかない
  • 疲れやすく、夕方には力が残っていない
  • 肌の乾燥や、髪・爪の弱さが気になる
  • 風邪をひきやすい
  • 食が細く、一度にたくさん食べられない
  • ダイエットのために、食事の量を減らしている

たんぱく質をつくる20種類のアミノ酸

私たちの体のたんぱく質は、約20種類のアミノ酸の組み合わせでできています。そのうち9種類は、体の中でつくることができないため、食事からとる必要がある「必須アミノ酸」です。残りの11種類は、ほかのアミノ酸などから体の中でつくることができる「非必須アミノ酸」です。

種類アミノ酸
必須アミノ酸
(9種類)
ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン(リジン)、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン(スレオニン)、トリプトファン、バリン
非必須アミノ酸
(11種類)
アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、セリン、チロシン

「非必須」といっても、とらなくてよいという意味ではありません。体の中でつくる量だけでは足りない場面もあり、どのアミノ酸も体にとって欠かせない材料です。それぞれのアミノ酸の働きは、別の記事であらためて紹介します。

たんぱく質は、体の中で何をしているのか

たんぱく質の働きはとても幅広く、大きく5つに分けて見るとわかりやすくなります。最後に、食べたたんぱく質が体で使われるまでの流れも見ておきましょう。

体をつくる材料になる

筋肉、肌、髪、爪、内臓、血管。体の多くの部分は、たんぱく質を材料にしてできています。骨も、カルシウムだけでできているわけではありません。コラーゲンというたんぱく質が骨の枠組みになり、そこにカルシウムなどのミネラルが沈着しています。

体の働きを動かす材料になる

食べ物を消化する酵素、体の調子を整えるホルモン、体を守る抗体。これらも、たんぱく質からつくられています。たんぱく質が足りないと、消化を担う酵素まで不足しやすくなります。

酸素や栄養を運ぶ

血液の中で酸素を運ぶヘモグロビンは、鉄とたんぱく質が組み合わさってできています。栄養素を全身に運ぶ役割にも、たんぱく質が関わっています。

心の働きに関わる物質の材料になる

気分や意欲に関わるセロトニンやドーパミン、眠りに関わるメラトニンなどは、食事からとったアミノ酸を材料に、体の中でつくられます。詳しくはこころの不調と栄養の話や、睡眠と栄養の話でまとめています。

エネルギーにもなる

たんぱく質は、1gあたり4kcalのエネルギー源にもなります。ただ、体を動かすエネルギーの主な担い手は、糖質と脂質です。食事の量そのものが少ないと、体はエネルギーを確保するために、たんぱく質まで燃料として使うようになります。その分、体をつくる材料に回る量が減ってしまいます。糖質の働きや血糖値の波については、糖質と血糖値の波の話でまとめています。

食べたたんぱく質が、体で使われるまで

食べたたんぱく質は、口でよく噛んで細かくされたあと、胃で胃酸と消化酵素によって分解が始まります。さらに小腸で、アミノ酸や、アミノ酸が2〜3個つながった小さな形まで分解されてから吸収されます。吸収されたアミノ酸は血液にのって全身に運ばれ、それぞれの場所で必要なたんぱく質に組み立て直されます。

この流れのどこかがうまく働かないと、食べた量のわりに、体に届く量が少なくなります。たんぱく質は「何を食べたか」だけでなく、「消化・吸収できているか」まで含めて考えることが大切です。

たんぱく質が足りないときに出やすいサイン

サインの出方には個人差があり、当てはまるものがあっても、たんぱく質不足とは限りません。いくつか重なるときは、毎日の食事の中身を振り返る目安にしてください。

疲れやすい Fatigue

少し動いただけで疲れる。夕方には力が残っていない。

筋肉・筋力の低下 Muscle

階段がきつくなった、物を持つ力が弱くなったなど、筋肉が落ちてきたと感じる。

肌・髪・爪の変化 Skin & Hair

肌の乾燥やハリのなさ、髪のパサつき、爪の割れやすさが気になる。

むくみやすい Swelling

足や顔がむくみやすい。血液中のアルブミンというたんぱく質が、水分を血管の中に保つ働きをしています。

立ちくらみ・息切れ Anemia

立ちくらみや、少し動いたときの息切れがある。酸素を運ぶヘモグロビンの材料には、鉄とたんぱく質の両方が必要です。

関連記事:「隠れ鉄不足」の話

風邪をひきやすい Immunity

風邪をひきやすく、治るまでに時間がかかる。

集中が続かない Focus

勉強や仕事に集中しようとしても、長く続かない。

気分の揺れ Mood

気分が揺れやすく、落ち込みやすい。

関連記事:こころの不調と栄養の話

たんぱく質が不足しやすい背景

たんぱく質は、「食事から入る量」が少ないときだけでなく、「体が使う量」が増えたときや、「消化・吸収する力」が落ちているときにも足りなくなります。

主食中心の食事 Carbs

パンや麺、おにぎりだけで済ませる食事が多いと、たんぱく質のおかずが不足しやすくなります。

食事の回数が少ない Skipping meals

朝食を抜くなど1日1〜2食になると、残りの食事だけで必要な量をとるのは難しくなります。

ダイエット・食事制限 Diet

食事の量を減らしたり、肉や魚を控えたりすると、たんぱく質も一緒に減ります。エネルギーが足りないと、たんぱく質が燃料に回され、体の材料に使える分がさらに減ってしまいます。

食が細い・少食 Appetite

食べる量そのものが少ないと、たんぱく質も届きにくくなります。年齢とともに食が細くなった方も同じです。

必要な量が増えている Demand

成長期、妊娠・授乳期、運動量が多いとき、ストレスが続くときは、体が使う量が増えます。

胃腸が弱い Digestion

胃腸の調子が整わないと、食べたたんぱく質を分解・吸収しにくくなります。

関連記事:胃腸の不調を整える方法

ここがポイント

たんぱく質が足りないと、消化を担う酵素も不足しやすくなり、さらに消化しにくくなる悪循環に入ることがあります。胃もたれしやすく、肉や魚が重く感じる方は、一度にたくさんとろうとするより、消化しやすい形で少しずつ増やすところから始めてみてください。

1日にどれくらい必要?体重から考える目安

1日にとりたいたんぱく質の目安は、体重1kgあたり1.0〜1.5g程度といわれます。体重50kgの方なら、1日50〜75gです。3食に分けると、1食あたり約17〜25gになります。成長期、妊娠・授乳期、運動量が多い時期やストレスが続く時期は、さらに多く必要になります。

では、1食17〜25gは、どれくらいの食事でとれるのでしょうか。代表的な食品に含まれるたんぱく質の量をまとめました。左の数値は可食部100gあたり、右はふだん食べる量に換算した目安です(数値は、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より)。

食品100gあたり食べる量の目安
マグロ赤身26.4g100gで約26g
豚ひれ肉22.2g100gで約22g
卵12.2gM2個(100g)で約12g
木綿豆腐7.0g1/2丁(150g)で約10.5g
納豆16.5g1パック(40g)で約7g

たとえば、朝に卵2個と納豆1パックをとれば、約19g。昼と夜に、手のひらくらいの大きさの肉や魚(約100g)を主菜にすれば、それぞれ20g前後になります。1品で足りないときは、2品を組み合わせると目安に届きやすくなります。

まとめてではなく、毎日・毎食とる理由

体のたんぱく質は、一度つくられたらそのまま、というわけではありません。筋肉も肌も血液も、毎日少しずつ分解されては、新しくつくり直されています。分解されてできたアミノ酸の多くは再び材料として使われますが、一部は失われていくため、その分を毎日の食事から補い続ける必要があります。

しかも、たんぱく質は脂肪のように体にためておくことができません。週末にまとめて肉を食べても、平日に足りない分を埋めることはできないのです。分子栄養学で「毎日・毎食」のたんぱく質を大切にするのは、このつくり直しの材料を切らさないためです。

ライフステージによって、必要な量は変わる

同じ体重でも、時期によって体が使うたんぱく質の量は変わります。とくに次のような時期は、意識して多めにとりたいタイミングです。

成長期の子ども
体が大きくなる時期は、筋肉や骨、血液をどんどん新しくつくっています。体の材料として使う量が多い分、食が細い子や、朝食が菓子パンだけで終わりがちな子は、足りなくなりやすい時期です。

妊娠中・授乳中
お母さん自身の体に加えて、赤ちゃんの体をつくる材料も必要になります。つわりで食べられるものが限られる時期は、とくに不足しやすくなります。

年齢を重ねてから
年齢とともに食が細くなったり、あっさりしたものを好むようになったりして、たんぱく質のおかずが減りがちです。筋肉は使わないと落ちやすく、材料が足りないと、さらに落ちやすくなります。毎食のおかずを意識することが、動ける体を保つ土台です。

食事で取り入れるコツ

量を一度に増やそうとするより、毎食どこかに「たんぱく質のおかず」を1品置くことから始めると、続けやすくなります。

食材取り入れやすい場面
卵ゆで卵や卵焼きで、朝食に1品
鮭・サバなどの魚焼き魚や缶詰で、主菜に
鶏むね肉・ささみ蒸し鶏や、スープの具に
豚肉・牛肉炒め物やしょうが焼きで、主菜に
豆腐・納豆みそ汁の具や、もう1品に

動物性と植物性、アミノ酸スコアで見る

たんぱく質には、肉・魚・卵などの「動物性」と、大豆製品などの「植物性」があります。たんぱく質の質を見る目安になるのが「アミノ酸スコア」です。体の中でつくれない9種類の必須アミノ酸が、どれだけそろっているかを示す数字で、100に近いほど質のよいたんぱく質とされています。

主な食品のアミノ酸スコアとプロテインスコアは、次のとおりです(オーソモレキュラー栄養医学研究所「アミノ酸」より)。

食品アミノ酸スコアプロテインスコア
卵100100
牛肉10080
アジ10089
大豆10056

プロテインスコアも、アミノ酸スコアと同じく、必須アミノ酸のそろい方を示す数字です。アミノ酸スコアではどれも100ですが、プロテインスコアで見ると、卵が100で、牛肉やアジ、大豆には差が出ます。どちらの指標でも満点の卵は、毎日の食事に取り入れたい食品です。

動物性は量をとりやすく、植物性は脂質が少なめで、ほかの栄養素も一緒にとれます。どちらか一方に偏らず、日によって組み合わせを変えると、飽きずに続けられます。

忙しい日は、間食や缶詰も使う

毎食おかずを手づくりするのは大変です。サバやツナ、鮭の水煮缶は、開けるだけで主菜やサラダに使えます。ゆで卵や冷ややっこ、塩味の焼き鳥、サラダチキンなども、もう1品足したいときに便利です。

3食でとりきれない分は、間食で補うこともできます。お菓子の代わりに、ゆで卵や枝豆、小さめのおにぎりに鮭やツナを合わせるなど、間食にもたんぱく質を入れれば、1日の目安に近づけます。

胃腸が弱い方は、少量を回数で

胃腸が弱く、肉や魚が重く感じる方は、1回の量を少なめにして回数を分ける、よく噛む、煮る・蒸すなどやわらかく調理する、といった工夫で取り入れやすくなります。

たんぱく質のサプリメントの選び方

毎食20g前後を食事だけで続けるのは、食が細い方や忙しい方には負担になることもあります。そんなとき、プロテインなどのサプリメントは心強い選択肢です。食事を土台にしながら、足りない分をサプリメントで補うこともできます。ただしたんぱく質は、「消化できる力」と「とる量」によって、体への届き方が変わります。

量と続け方は、消化の状態に合わせる

1日の中で何回かに分けてとると、体になじみやすくなります。必要な量は、体重や食事内容、消化の状態によって人それぞれです。

なお、プロテインパウダーには、乳を原料にしたものもあります。乳製品を控えている方は、原料も確認しておくと安心です。

健康相談NOZOMIでは、プロテインバーも取り扱っています。食が細い方でも無理なく取り入れられるので、朝食にもう1品足したいときや、食事の合間に使えます。

たんぱく質とあわせて意識したい栄養素

たんぱく質は、とったあと体の中で分解され、組み立て直されて使われます。その過程には、ほかの栄養素も関わっています。

栄養素たんぱく質との関係
ビタミンB6アミノ酸をつくり変える働きを助け、神経伝達物質づくりにも関わる
鉄たんぱく質と組み合わさって、酸素を運ぶヘモグロビンになる
亜鉛体の中でたんぱく質を組み立てる働きに関わる
ビタミンC肌や骨の枠組みになるコラーゲンをつくる働きを支える

どの形で、どれくらいの量をとるかは、消化の状態や食事内容によって変わります。自己判断で量を増やすより、今の体の状態を確認したうえで決めることをおすすめします。

サプリメントに迷ったら

健康相談NOZOMIでは、品質と安全性に配慮したサプリメントを取り扱っています。「たんぱく質が足りていないかも」と感じたときは、今の食事や体調をお聞かせください。その方に合った種類や量、組み合わせまで、ご提案します。

よくある質問

たんぱく質が多い食品は何ですか?

肉、魚、卵、大豆製品(豆腐・納豆など)に多く含まれています。たとえば、マグロの赤身や豚ひれ肉なら100gで20g以上、卵なら2個で約12gのたんぱく質がとれます。

肉を食べていれば、たんぱく質は足りますか?

1日のうち1食だけ肉を食べても、体重50kgの方の目安である1日50〜75gには届きにくいことがあります。1食でまとめてとるより、3食それぞれにたんぱく質のおかずを置くほうが、量を確保しやすいでしょう。

たんぱく質は、とりすぎても大丈夫ですか?

どれくらいの量が合うかは、体重や食事内容、消化の状態によって変わります。気になる方は、今の状態を確認したうえで量を決めることをおすすめします。なお、腎臓の病気がある方は、医師の指示のもとで量を決めてください。

胃腸が弱くても、たんぱく質はとれますか?

一度に多くとろうとせず、1回の量を減らして回数を分ける、よく噛む、煮る・蒸すなどやわらかく調理する、といった工夫で取り入れやすくなります。食事でとりにくいときは、サプリメントで補うこともできます。

まとめ|毎食の「おかず」から、たんぱく質を見直す

この記事のポイント

  • たんぱく質は、筋肉や肌、髪、内臓などの材料になり、酵素やホルモン、心の働きに関わる物質の材料にもなります。
  • 体にためておくことができないため、毎日・毎食の食事から入れ続けることが大切です。
  • 成長期、妊娠・授乳期、年齢を重ねてからは、とくに不足しやすい時期です。
  • 1日の目安は体重1kgあたり1.0〜1.5g程度。体重50kgなら1日50〜75g、1食あたり約17〜25gです。
  • 疲れやすい、筋力が落ちた、肌や髪・爪に元気がない、むくみやすいなどのサインが重なるときは、食事の中身を見直すきっかけになります。
  • 食事を土台に、足りない分はサプリメントで補うこともできます。量や種類は、消化の状態に合わせて選びます。

量を一度に増やす必要はありません。まずは朝食に、卵や納豆などのたんぱく質のおかずを1品足すところから始めてみてください。

※本記事は健康・栄養に関する一般的な情報提供を目的としたもので、効果を保証するものではなく、医療行為や診断に代わるものではありません。検査では原因が見つかりにくい、なんとなく続く不調は、一般的な医療では「様子を見ましょう」と言われがちで、なかなか解決の糸口が見つからないことも少なくありません。栄養と生活習慣の面から、体の土台を整えることで、できることがあります。症状が強い場合や急に悪化した場合、また服薬中の方は、安全のため、分子栄養学(オーソモレキュラー)に理解のある医療機関にもご相談のうえ、無理のない範囲で取り組んでください。
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